マルチコア光ファイバーの遠隔診断に成功 アンリツとKDDI総合研究所が世界初

アンリツとKDDI総合研究所は2025年9月25日、世界で初めて、マルチコア光ファイバーを用いた光海底ケーブルの遠隔監視システムを設計し、その試験環境において障害検知や光伝送路の損失分布の測定の実証に成功した。さらに、中継器を介した光ファイバー全長にわたるコア間クロストーク分布の測定が可能であることも確認し、コア間クロストーク分布の長距離での可視化にも世界初成功したという。

この実証では、KDDI総合研究所の知見を活用し、マルチコア光ファイバーにおいて遠隔監視を可能とする光回路を組み込んだ光海底ケーブルシステムの試験環境を構築。測定には、アンリツ製の光パルス試験器「コヒーレントOTDR MW90010B」を用いた。

コヒーレントOTDRとマルチコア光ファイバーを用いた今回の試験の構成

コヒーレントOTDRとマルチコア光ファイバーを用いた今回の試験の構成

通信量が増大するなか、1本の光ファイバー内に複数のコアを独立して配置するマルチコア光ファイバーの導入が、まずは光海底ケーブルから始まりつつある。シングルモード光ファイバーを用いた光海底ケーブルシステムの運用・保守では現在、コヒーレントOTDRを用いた破断位置の特定や損失分布の測定が行われているが、マルチコア光ファイバーにはコア間クロストークの影響があるため、コヒーレントOTDRでは正確な測定ができない可能性があったという。

しかし今回、マルチコア光ファイバーにおいてもコヒーレントOTDRによる測定が可能となる伝送システムを新たに設計し、コヒーレントOTDRで障害の検知や光伝送路の損失分布の測定ができることを世界で初めて実証した。この成果により、マルチコア光ファイバーにおける従来のコヒーレントOTDRの実用性が示され、光海底ケーブルシステムへのマルチコア光ファイバーの導入推進と、光海底ケーブルにおける通信品質の確保が期待されるという。

両社は、光海底ケーブルのさらなる大容量化と国際間の安定した通信の保持に向けて、今後も連携して研究開発を進めていくとしている。

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