米キーサイト・テクノロジー 量子部門 ジェネラルマネージャー 兼 戦略イニシアチブ責任者 エリック T. ホランド博士
「日本は超伝導量子ビットが発明された国なので、来日の機会があるとワクワクする」。キーサイト・テクノロジーは2025年9月12日、量子コンピューティング分野に関する記者説明会を開催。米本社で量子部門のジェネラルマネージャー兼戦略イニシアチブ責任者を務めるエリック T. ホランド博士が、超伝導量子コンピューターや光量子コンピューターなどにおける同社の取り組みを説明した。
富士通・理研やAISTの量子コンピューターに採用
富士通と理研が共同設立した理研RQC-富士通連携センターは今年4月、世界最大級となる256量子ビットの超伝導量子コンピューターを開発したと発表した。その制御システムとして組み込まれているのが、キーサイトの量子制御システム(QCS)だ。
量子制御システムは、古典コンピューターと量子コンピューターの世界をつなぐインターフェースとして機能するもの。「言ってみれば、量子コンピューティングのオペレーティングシステム(OS)のような役割を果たしている」(ホランド氏)。マイクロ波を使って、古典コンピューター側から出されるユーザー指令を量子コンピューターで実行される操作に変換すると同時に、量子ビットの状態情報を示す信号のわずかな変化を解析できる。
右下にあるのがキーサイトの量子制御システムを採用した理研RQC-富士通連携センターの256量子ビットの超伝導量子コンピューター。現状は量子ビット毎にマイクロ波を送信するケーブルが必要で大量のケーブルが見える
また、今年7月にも、産業技術総合研究所(AIST)の量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)に量子制御システムを導入したと発表。納入したのは、1000量子ビット超に対応する世界最大規模の商用量子制御システムだという。さらにホランド氏は「グーグルにも採用された」と紹介した。