楽天モバイルは2025年9月1日、災害対応と衛星通信に関するメディア向け勉強会を開催した。
同社は2026年第4四半期を目途に、米AST SpaceMobileの低軌道衛星「BlueBird」を活用した衛星とスマホの直接通信サービス「Rakuten最強衛星サービス」を提供開始する予定だ。同社 先端技術開発統括部 ヴァイスディレクターの河炯敏氏は、他社と比較して同サービスにはいくつかの優位点があると説明した。
楽天モバイル 先端技術開発統括部 ヴァイスディレクター 河炯敏氏
Rakuten最強衛星サービスは、BlueBirdの「フェーズドアレイアンテナ」を採用している。多数のアンテナ素子をアレイ上に配置し、それぞれの送受信信号の位相を制御することで、ビームの向きを電子的に切り替えられる点が特徴だ。衛星から地上にビームを多数照射して、面積カバー率を向上させることも可能である。
BlueBirdのアンテナサイズは約64㎡で、これはStarlinkの約10倍に相当するそうだ。これにより、少ない衛星数で広範囲に強い電波を届けることができる。今後は約223㎡のアンテナを搭載した「BlueBird Block2」の打ち上げを予定しているという。
約223㎡のアンテナを搭載した「BlueBird Block2」の打ち上げを予定
そしてRakuten最強衛星サービスでは、動画視聴やビデオ通話も行える。例えばKDDIの「au Starlink Direct」は現状、テキストメッセージや画像ファイルの共有、特定アプリの使用などに限られるが、「我々のサービスであれば、災害時や離島でも音声・ビデオ通話で家族の無事を“声”で確認したり、高速インターネットが利用できるようになる」と河氏は自信を見せた。
また、同氏によれば、従来の衛星通信ネットワークでは地上側のゲートウェイ地球局は衛星事業者が設置・運用するケースが多いが、これを楽天モバイル自身が準備することで、「MNOとしての自由度が高まる。例えば、ある地域で災害が発生した際に、衛星事業者との調整を待たずに、迅速にネットワークを増強することができる」とした。