IDYは2025年8月21日、ローカル5G向けの高利得アンテナ「iAN263-L5G」を9月から販売開始することを発表した。
写真左が「iAN263-L5G」本体側面。右は本体に3mのケーブルを接続したもの
同製品は、従来の広帯域対応モデル「iAN262-5GS6」をベースに、ローカル5Gで利用される周波数帯に特化することで利得性能を向上。ピーク利得で4dB以上、平均利得で3dB以上の改善を実現した。これにより、電波減衰が課題とされるSub6帯域(3.4~4.9GHz)において、より安定した通信環境を提供できるとしている。
三次元放射パターンとピーク利得
開発の背景には、総務省が2024年9月に施行した省令改正がある。3GPP Release 17において高出力端末(HPUE)が規定されたことを受け、端末送信出力の上限が従来の23dBmから29dBm(約800mW)に引き上げられた。これにより送信電力は従来比で約4倍に拡大し、工場や港湾、物流拠点など電波環境が厳しい場所でも上り回線の品質確保が容易になると期待されている。
同製品は、HPUE対応を見据えた利得向上に加え、HPUE非対応機器でも高いEIRP(等価等方放射電力)を実現可能とする。
動作保証温度は-40℃から+65℃、防水規格はIP56に対応。屋内外を問わず設置できる仕様。バスタブ構造のケースに2本のアンテナを内蔵し、MIMO機器での利用を想定する。対応周波数は3300~5000MHzで、アイソレーションは20dB以上。SMAコネクタを2系統備え、ケーブル長は3m/4m/15mの3種類から選択できる。