SPECIAL TOPICリボンCEOが語る躍進の理由「1.2T伝送とIP/光統合、自動化」

音声コミュニケーション製品で通信事業者のサービスを長く支えてきたリボン・コミュニケーションズは、2020年にIP/光伝送市場に参入。最先端の「1.2Tbps伝送」技術や運用自動化等を武器に、導入実績を増やしてきた。近年は通信業界以外への進出も目立つリボンの強みと日本市場での展望について、CEOのブルース・マクレランド氏に聞いた。

――リボン・コミュニケーションズは音声コミュニケーション、光トランスポートにIPルーティングと幅広い領域でソリューションを提供しています。日本でのこれまでのビジネスについて教えてください。

マクレランド 私がキャリアをスタートさせたノーテルやソナス・ネットワークスがリボンの一部となっており、我々が日本市場に進出してから25年が経ちます。大手を含む国内の多くの通信事業者様に、セキュアかつ高信頼なリボンの音声インフラ製品を活用していただいています。

日本ではSession Border Controller(SBC)を中核製品とする音声コミュニケーションが主要なビジネス領域となっていて、グローバル全体でもこの領域が売上の多くを占めています。

近年はポートフォリオを拡大し、光伝送およびIPルーティングソリューションも日本市場へ導入し始めています。

リボン・コミュニケーションズ President & CEO ブルース・マクレランド氏

「セキュアな音声」とIP/光で通信業界以外にも進出

――通信事業者はリボンにどんなソリューションを期待しているのですか。

マクレランド 5GネットワークもFTTHインフラもデータ通信量が指数関数的に増えているので、通信事業者はネットワーク容量を拡大するための投資を継続しなければなりません。私たちのIP/光製品はそのニーズに応えられますし、日本と世界をつなぐ海底ケーブルにも注力しています。

特に目覚ましいのが、大規模なデータセンター(DC)/AIインフラのニーズです。従来のコンピューティングとAIアプリケーションの両方をサポートするために、光ファイバーネットワークへ大規模な投資が行われています。

当社は昨年、フィリピンのConverge ICTと画期的なプロジェクトをスタートしました。140Gbaud伝送チップセットを搭載するリボンの光伝送システム「Apollo」を導入し、同国全土に光ファイバーネットワークを構築。光1波長当たりの伝送容量を従来の800Gbpsから1.2Tbpsに拡大します。

私たちがもう1つ重点を置いているポイントが、ネットワークのモダナイゼーションです。つまり、通信事業者がレガシーインフラをソフトウェアベースの最新システムに置き換えると同時に、自動化やAIを活用してネットワーク運用の総コストを削減することです。

私たちはビジネスの多角化を進めていて、通信事業者が7割、3割がそれ以外の企業顧客です。エネルギーや鉄道、金融業界などのほか、政府機関、防衛機関・軍隊にも顧客がいます。独自のプライベートネットワークを構築・運用するこうした企業・組織もリボンの重要なターゲットです。

――特徴的な事例を教えてください。

マクレランド 当社のIPルーティングプラットフォーム「Neptune(NPT)」シリーズは、IPレイヤーの暗号化機能であるMACsecをサポートしており、光レイヤーでの暗号化も組み合わせて、あらゆるサービスストリームをセキュアにすることができます。

音声コミュニケーションも、セキュリティを確保でき、かつ強靭でミッションクリティカルなインフラを実現できる点が評価されています。2024年には米軍が音声インフラをVoIPに移行するにあたって、リボンをパートナーに選びました。米国防総省情報サービス局の音声インフラの近代化をサポートする技術プロバイダーにも選定されています。

また、米国最大の送電システムを維持・運用するAmerican Electric Power(AEP)もリボンの顧客です。米国にとって重要な公益インフラと言えるAEPのIP/光ネットワークをアップデートするに当たって、リボンのソリューションが選ばれたのです。

――日本市場でビジネスを拡大するための戦略は。

マクレランド リボンの戦略はいたってシンプルです。グローバルでも日本でも、音声コミュニケーションの領域では非常に強固なプレゼンスがあります。これを基盤として、IP/光製品をクロスセルすることでデータ通信の領域へ進出する機会が得られます。

――IPルーティングと光伝送については、この2レイヤーの統合がトレンドになっています。北米のハイパースケーラーをはじめとするDC/クラウド事業者で先行していますが、日本、そして通信事業者にも広がりますか。

マクレランド 技術の進化によって、IPと光を分離する必要は最早なくなりました。最新のコヒーレント光技術を使えば、非常に小さなプラガブル光トランシーバーによってルーターに直接統合し、導入・所有コストも電力も大幅に効率化できます。少し遅れてはいますが、通信事業者でもトレンドとなるのは間違いないでしょう。

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