NTT AI-CIXとRetail AIは2025年7月8日、リテールDXの新会社「Retail-CIX」を設立したと発表した。
NTTとRetail AIの親会社であるトライアルホールディングスは昨年1月、リテール業界におけるサプライチェーンマネジメント(SCM)の最適化に向けた連携協定を締結した。NTT AI-CIXが開発する、複数のAIが業務・業界を横断して連携する「連鎖型AIエージェント」を活用し、リテール業界が抱える「ムダ・ムラ・ムリ」の削減を目指している。
新会社設立の狙いについて、Retail AI 代表取締役CEOの永田洋幸氏は、「流通サプライチェーン全体の最適化を目指した両社の取り組みにおいて、新しいサービスが実現できたため、合弁会社を設立し、事業展開を行うことにした」と語った。
(左から)Retail AI 代表取締役CEO 永田洋幸氏、Retail-CIX 代表取締役社長 社家一平氏、Retail-CIX 取締役副社長 北川亮一氏
具体的には、①発注最適化AI、②補充曜日最適化AI、③配送最適化AI、④棚割最適化AIなどの複数AIが連携することにより、製品の製造から在庫管理、流通、販売に至るまでのSCM全体を大きく効率化できるという。
発注最適化AIは、需要予測に基づいて発注量とタイミングを適切にコントロールし、補充・物流コストが最小となる発注シナリオを生成する。
在庫量が予め設定した基準を下回った場合に商品を発注する従来型の「発注点方式」では、悪天候などによる急な需要変動に対応しきれず、過剰在庫を抱えるリスクがある。発注最適化AIでは、AIが需要変動を予測し、発注量とタイミングを自動調整することで、納品回数と余剰在庫を減らすことが可能になるという。
発注最適化AIの概要
補充曜日最適化AIについては、商品の販売速度と棚の大きさから在庫補充が必要な日時を特定することで、補充コストを削減する。
「商品補充は通常、全棚を毎日チェックするケースが多いが、売れ行きによっては、必ずしも毎日補充する必要があるとは限らない。とはいえ、補充を怠って売上が落ちたり、棚が空のままになっていては元も子もない。AIを活用すれば、補充が本当に必要な棚を見極め、作業対象を的確に絞り込むことができる。」とRetail-CIX 代表取締役社長の社家一平氏は説明した。
補充曜日最適化AIの概要
同氏によれば、この2つのAIサービスで在庫・作業コストを約20%削減できる見込みだという。