ノキアは2025年6月11日、「Nokia Bell Labs(ノキアベル研究所)100周年記念イベント」を、大阪・関西万博 ノルディックパビリオンにて開催した。
ノキアの研究機関にあたるノキアベル研究所は、光ファイバー伝送技術やミリ波、サブテラヘルツ波など、無線通信をはじめとする先端技術の研究開発に取り組んでいる。同イベントでは、同研究所の技術を活用しながらビジネスを展開するNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)と古河電気工業(以下、古河電工)が登壇し、ノキアとの協業の取り組みについてプレゼンテーションを行った。
NTT ComはLANを光化した「POL」をオフィスビルに提供
NTT Comは、スマート医療やスマート教育など計7分野で構成される「Smart World」事業を展開しており、同事業の1つとして、スマートシティ・スマートビル事業にも取り組んでいる。
同社 執行役員 スマートワールドビジネス部長の福田亜希子氏は、「今後のビルはスマートフォンのように、設備や機能が継続的にアップデートされていく」と展望し、スマートビルを支える基盤として、柔軟かつ大容量な通信を実現する光ネットワークが重要になると語った。
NTT Com 執行役員 スマートワールドビジネス部長 福田亜希子氏
そこでNTT Comは今年2月、ノキアの協力のもと、Passive Optical Network(PON)を用いてLANを構築する「Passive Optical LAN(POL)」をオフィスビル向けに提供開始。東京・虎ノ門の複合施設「トラノゲート」(2027年竣工予定)にPOLを導入する予定だ。
POLは、電源不要な光スプリッターを用いて中継機器を介さず光ファイバー信号を複数に分岐できるため、コスト削減やエネルギー効率の向上、省スペース化につながる。福田氏によると、従来型のLANと比べてコストと消費電力を約30%削減できることを確認しているという。
オフィスビル向けにPassive Optical LAN(POL)を提供開始
将来的には、IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)などを活用し、「構内ネットワークだけでなく、WANも光化し、街全体の省電力化を目指す」「データセンター間をAPNでつなぎ、発電量の変動に応じて計算資源を効率的に分散させていくといった取り組みを行っていきたい」と福田氏は意気込んだ。