2025年1月20日、米国の第47代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が就任し、第2次トランプ政権が発足した。トランプ大統領は就任からわずかの間に、バイデン前大統領が発出した大統領令や措置を次々と撤回するなど大幅な政策転換を図っている。
トランプ政権では、規制緩和、減税など従来の共和党路線が基本的に踏襲され、ビジネスにとっては好環境になることが予想される。一方でトランプ大統領は、言論の自由の回復やDEI(多様性、公平性、包摂性)の廃止を政権の重要政策として掲げており、通信業界もこうした政策への対応を迫られることになる。
本稿では、通信規制当局の米連邦通信委員会(FCC)、競争当局の米連邦取引委員会(FTC)及び米司法省(DOJ)の取り組みを中心に、第2次トランプ政権の情報通信政策の見通しについて考察するとともに、5Gの現状や6Gに向けた取り組みなど大手モバイル事業者の最新動向を紹介する。
目次
- 1.FCCの施策 新委員長の優先課題と周波数政策
- (1)FCC委員長の優先課題
- (2)周波数・国家安全保障
- 2.大手プラットフォームへの規制 FCCとFTCが「検閲」対策を推進
- (1)反トラスト法の執行
- (2)「検閲」対策
- 3.モバイル市場の動向 先行するT-Mobile、衛星との提携も焦点に
- (1)5Gの現状と今後
- (2)6Gに向けた取り組み
- (3)衛星事業者との連携