NTT東日本は2025年3月21日、事件・事故の未然防止に行動認識AIを活用する「ギガらくカメラ 映像解析オプション MIMAMORI AI(以下、MIMAMORI AI)」を3月31日から提供すると発表した。
(左から)NTT東日本 ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部長の渡辺憲一氏、アジラ 代表取締役 CEOの尾上剛氏、ドコモベンチャーズ 代表取締役社長の安元淳氏
同ソリューションは、クラウド監視カメラソリューション「ギガらくカメラ」に、アジラ社の行動認識AIを組み合わせ、カメラ1台から利用できるようにしたもの。サービス開始に合わせ、NTTグループのベンチャーキャピタルであるドコモ・ベンチャーズがアジラに出資したことも発表した。
姿勢推定技術で、不審行動の予兆を検知
NTT東日本 ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部長の渡辺憲一氏によると、同社は今年1月にアジラと業務提携を結んだ。人手不足が特に深刻な警備分野、無人店舗の運営効率化などが、MIMAMORI AIの主なターゲットだという。
「MIMAMORI AI」サービスイメージ
ギガらくカメラの累計販売台数は、2025年3月時点で14.5万台を突破している。ただ、人手不足を背景に、これまでは事件や事故の抑止、事象発生後の録画映像の確認といった事後の活用が中心で、リアルタイムに映像を活用するケースは多くなかったという。
MIMAMORI AIでは、ギガらくカメラとアジラの行動認識AIを連携させ、「スタンダードプラン」をカメラ1台あたり月額1万4850円(税込、以下同じ)で提供する。転倒、侵入に加え、異常な行動の予兆も「違和感」としてリアルタイムで検出・通知し、業務効率化に寄与するという。
「MIMAMORI AI」サービス提供料金
この基本機能に加えて、放置物や自転車侵入なども検知できる「セキュリティ強化機能」をオプションで月額1980円で用意するほか、マーケティング目的に利用できる年齢・性別などの属性分析「マーケット機能」のプレビュー版を無償提供する。MIMAMORI AIの利用にあたっては別途、1拠点あたり1万6500円、カメラ1台あたり1650円の初期設定工事費が必要になる。
アジラ 代表取締役 CEOの尾上剛氏によれば、同社の技術は競合となる行動認識AIアルゴリズムとのベンチマーク比較において、「軽さ(速度)、精度ともに世界トップクラス」だという。同社は2022年から警備ソリューション「AI Security asilla」を展開しているが、大規模施設を想定したオンプレミス型システムのため、カメラ台数の少ない中小規模の施設にとってはカメラ1台あたりのコストが高く、導入ハードルが低くなかった。一方、クラウド型のMIMAMORI AIはサーバーをオンプレミスで導入する必要がないため、カメラ1台の施設でも導入しやすい。