総務省「通信復旧支援士」の試行へ 被災地の通信手段確保に住民目線で寄り添いを

通信インフラにも甚大な被害をもたらした能登半島地震。非常用通信機器の活用に課題を残した一方で、被災地の無線専門家住民が力を発揮した。住民主体の「通信復旧支援士」が、この課題を克服する。

2024年元日、能登半島を最大震度7の地震が襲った。死者は450人以上に及び、現在も復興への途上だ。

電力供給網が寸断されるなどインフラへの被害も甚大で、発災直後から多くの携帯電話基地局が非常用電源に切り替わった。しかし、1月3日・4日ごろには電源容量が払底し、輪島市、珠洲市などの広範囲で携帯電話がつながらなくなった。防災行政無線の電池切れや故障も生じた。

官民連携による取り組みにより、支障発生から約2週間経った1月17日には立ち入り困難地域を除き応急復旧が完了した(図表1)。

図表1 能登半島地震・9月20日からの大雨における避難者の通信手段

図表1 能登半島地震・9月20日からの大雨における避難者の通信手段

通信手段確立に地域の力を

復旧までの間、総務省は保有する衛星携帯電話や簡易無線機、通信事業者から提供された衛星インターネット機器を被災自治体に貸し出して通信手段の確保に努めたが、そこで課題となったのが機器の運用だ。

例えば、避難所等の通信手段として600台を超える衛星インターネット機器・スターリンクが確保されたが、設置・運用には通信事業者の協力が欠かせなかった。総務省が自治体に機器を直接送付することもあったが、独力での設置に大変苦労したという声もある。

9月20日からの大雨では能登地震の被災地でも河川氾濫などの水害が発生。翌21日には県から国や通信事業者に対して通信手段支援要請があり、23日には機器設置が始まった。

1月の経験を踏まえ、通信手段確保への時間は短縮された。しかし、外部からの支援は輸送が可能な状況でも最低3日かかり、能登半島地震のように交通アクセス網が寸断されている場合はさらに時間を要するため、通信手段を迅速に確立するには「地域の力」が必要だ。

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