<特集>6G時代のディープテック革命ネイチャーテックで自然保全 「モニタリング」「依存・影響の評価」「実行」がカギ

自然の回復・保存に資するデジタル技術「ネイチャーテック」。バイオームなどの大学発スタートアップが生物多様性可視化ツールを展開するほか、積水ハウスなどの大手企業でもネイチャーテックの活用が進んでいる。

近年、生物多様性の損失が世界中で問題視されている。特定の野生動植物が絶滅の危機に瀕するおそれがあることに加え、水や魚、家畜等の生態系サービスに大きく依存している我々の暮らしにも影響を及ぼしかねない。

環境省が閣議決定した「生物多様性国家戦略2012-2020」では、生物多様性に関する“4つの危機”が指摘されている。開発など人間活動による危機、自然に対する働きかけの縮小による危機、人間により持ち込まれたものによる危機、地球環境の変化による危機の4つだ(図表)。

図表 生物多様性を脅かす「4つの危機」

図表 生物多様性を脅かす「4つの危機」

こうした危機を乗り越えるため、2022年12月に加モントリオールで開催された「COP15(生物多様性条約第15回締約国会議)」では、2030年までに劣化した陸域・淡水域・海水域の生態系を30%復元するなど、23の世界目標が採択された。生物多様性への評価・情報開示の枠組み構築を目指す「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)」も2023年9月、「ガバナンス」「戦略」「リスクとインパクトの管理」「指標と目標」の4本柱で構成された最終提言を開示している。

そしてこれらの危機に対処できる可能性を秘めているのが、ネイチャーテックだ。ネイチャーテックとは、生物多様性の回復・保存に資するデジタル技術。COP15で設定された目標のなかには、自然への依存や影響に関する開示義務が盛り込まれているが、「企業としても本腰を入れて生物多様性の保全に向けた取り組みを進めないといけないといった気運が出来上がりつつある」と野村総合研究所 IT基盤技術戦略室の権藤亜希子氏はネイチャーテックに注目が集まる背景を語る。

野村総合研究所 IT基盤技術戦略室 権藤亜希子氏

野村総合研究所 IT基盤技術戦略室 権藤亜希子氏

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