マイクロソフト米野氏 「ビジネスチャットが現場のコミュニケーションを活性化させる」――UCサミット2011レポート

「テレワークの課題は、日常のコミュニケーションの品質と効率が低下すること。Lyncがフェイス・トゥ・フェイスの代替手段を提供する」――。日本マイクロソフトの米野宏明氏は2011年9月15日に開催された「UCサミット2011」で、なぜ同社のユニファイドコミュニケーションツールがワークスタイル変革で直面する課題の解決策となるかを説明した。

東日本大震災の発生以降、テレワーク導入などのワークスタイル変革を本格的に検討する日本企業が急増している。UCサミット2011で講演した日本マイクロソフトの米野宏明氏によれば、その背景には次の3つの要因があるという。

1つめの要因はもちろん、災害発生時のビジネス継続や電力削減だ。企業にとっては、至急対応しなければならない重要な課題となっている。また、こうした短期的な危機対応のためだけでなく、持続的な成長を目指すうえでもワークスタイル変革の必然性は高まっている。企業が中長期的に成長を維持していくには、労働力の多様化やグローバル化への対応が必須だからだ。最後の3つめの要因は、ハードウェアやネットワーク技術などの目覚しい進化である。場所を問わない働き方が、現在では低コストで容易に実現できるようになってきている。ワークスタイル変革の必要性は以前から叫ばれてきたが、機は完全に熟したわけである。

ただ、テレワークの導入にあたっては注意すべき点があると、米野氏は指摘する。それはコミュニケーションの品質と効率の低下だ。「社員がオフィスに集合しないメリットは大きいが、その一方でフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが少なくなるという問題点が当然出てくる」。どこでも働けるワークスタイルの実現により、個々人の生産性を向上させるだけでは不十分だ。日常的なコミュニケーションの品質と効率も維持することで、チームとしての生産性も向上させなければならない。

そこでマイクロソフトが提供しているのが、ユニファイドコミュニケーション(UC)ツールの「Microsoft Lync」だ。「Lyncはフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを代替する手段を提供し、自宅や客先などオフィス外にいても高いコミュニケーション品質を実現できる」という。

日本マイクロソフト Officeビジネス本部 サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 米野宏明氏
日本マイクロソフト Officeビジネス本部 サーバー製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 米野宏明氏

日常のコミュニケーション品質を向上させるLync

フェイス・トゥ・フェイスを代替するコミュニケーション手段としてはビデオ会議をまず思い浮かべる人も多いだろう。しかし、米野氏は「相手の顔が見られればコミュニケーションの質が上がるというのは大きな間違い」と指摘したうえで、「フェイス・トゥ・フェイスの本当の意義とは、時間・空間・設備の共有にある」と語った。

Lyncは、(1)ビジネスチャット(インスタントメッセージ)とプレゼンス、(2)オンライン会議、(3)エンタープライズボイス(外線通話)の大きく3つの機能から構成される。最も基本となるのはビジネスチャットとプレゼンスだ。相手の状態を事前に知ったうえで、テキストや音声、ビデオ、アプリケーション共有などによるリアルタイムコミュニケーションを行うことができる。

Microsoft Lyncの概要。PBXも代替できることから、コミュニケーションインフラの設備・運用コストの削減にも大いに貢献する
Microsoft Lyncの概要。PBXも代替できることから、コミュニケーションインフラの設備・運用コストの削減にも大いに貢献する

隣席の同僚に相談したいとき、通常は相手が話しかけて大丈夫な状態かを確認してから声をかけるだろう。フェイス・トゥ・フェイスでは空間を共有しているから相手の状況をすぐ把握できるわけだが、Lyncのプレゼンス機能がこの代替となる。また、同じPCの画面やホワイトボードなど、つまり同じ設備を共有しながらコミュニケーションすることで、その質は向上するが、Lyncではアプリケーションやデスクトップなどの共有も可能だ。

アプリケーション共有やデスクトップ共有といった機能はWeb会議ツールも搭載するが、米野氏が違いとして強調したのは次の点である。「Lyncのビジネスチャットは、日常のコミュニケーションの質を上げることにフォーカスを当てたもの。『ちょっと今いい?』とテキストチャットからコミュニケーションを開始し、話の流れのなかで必要に応じてビデオやアプリケーション共有などの機能を別のツールに切り替えることなく利用できる。一方、Web会議は、あらかじめ時間と参加者、議題を決めて行う会議のためのものだ」

Lyncのデモを行う米野氏
Lyncのデモを行う米野氏。画面に映るLyncのクライアントソフトからだけでなく、Outlook上の名前などからもコミュニケーションを開始できるなど、Office製品との高度な連携が実現されているのも特徴

ちなみに、前述の通りLyncにはオンライン会議機能もありWeb会議用のツールとしても活用できるが、日本マイクロソフトでは日常のコミュニケーションの品質が向上したことで、会議そのものの回数が減っているとのこと。「わざわざ会議で集まらなくても、その場で重要な要件を済ませられるようになっている」という。

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