ブロケード コミュニケーションズ システムズは2011年6月1日、データセンター/クラウド向け事業に関する記者説明会を行った。これは5月3日~4日に米国で行われたイベント「Brocade Tech Day Summit 2011」を受けて開催されたもので、米Brocade本社でデータセンター製品部門 プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントを務めるダグ・イングラハム氏が来日した。
米Brocade データセンター製品部門 プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント ダグ・イングラハム氏 |
説明会では「CloudPlex」という同社の新しいアーキテクチャが紹介されたが、これはパブリック/プライベート/ハイブリッドクラウドを統合するためのアーキテクチャだという。そのコンセプトの1つは「Virtual Compute Blocks」で、「例えばサーバーとストレージはデル、ハイパーバイザーはVMware、ネットワークはブロケードといったように、ベスト・オブ・ブリードの環境を提供できる」とした。
Virtual Compute Blocksのパートナー企業 |
また、イングラハム氏は「ハイブリッドクラウドで重要なのはオープンであること」と語ったうえで、OpenFlowおよびOpenStackへの対応を表明したことにも触れた。OpenFlowとはスタンフォード大学を中心としたコンソーシアムが策定しているオープンな次世代ネットワーク制御技術で、今年3月にNECが世界初のOpenFlow対応スイッチを製品化している。また、OpenStackは、オープンソースのクラウド基盤構築ソフトウェアである。
さらにイングラハム氏はBrocade Tech Day Summit 2011で発表された新製品についても紹介。特にアピールしていたのはSANバックボーンの「Brocade DCX 8510 Backbone」やSANスイッチの「Brocade 6510 Switch」などのファイバーチャネル製品群で、業界で初めて16Gbpsを実現しているという。
続いて日本法人社長の青葉雅和氏が登壇し、昨年11月に発表したデータセンター向けスイッチ「Brocade VDX 6720」の導入事例などについて語った。イーサネットファブリックを提供するVDX 6720は、同社のクラウド戦略の中核を担う製品である。
ブロケード コミュニケーションズ システムズ 代表取締役社長 青葉雅和氏 |
導入事例の1つは、業務システム開発やデータセンター事業などを行うアイネット。同社の仮想化サービス「VAiOS」のネットワーク基盤としてVDX 6720は採用されている。「仮想化へのニーズに対応していくうえで、ネットワークがネックになってはいけない。今までのSpanning Tree Protocol(STP)の無駄を排除したテクノロジーを使いたいということで、VDX 6720を採用いただいた」という。また、スモールスタートが可能な点も評価されたとのこと。VDX 6720は、実際に利用するポート数に応じてライセンス費用を支払うポート・オンデマンド型の価格体系を採用している。
アイネットの事例の概要 |
紹介されたもう1つの事例は、データセンター事業者のさくらインターネットのケースだ。同社は新しいクラウドサービスを立ち上げるにあたりVDX 6720を導入したそうだが、採用に至った大きな理由の1つは低消費電力。「我々の製品はASICを使っているため、非常に低い消費電力で同じ機能を提供できる。この点を高く評価していただいた」(青葉氏)という。
さくらインターネットの事例の概要 |
なお、青葉氏が繰り返し強調していたのは、競合他社のイーサネットファブリックとの違いだ。「ブロケードはもともとSANの世界で、ファイバーチャネルのファブリックの市場を作ってきた。その技術をほぼそのままイーサネットに持ってきたのが、我々のイーサネットファブリック。イーサネットの考え方とはずいぶん違っている」。この違いを実際に体感してもらうため、ブロケードでは現在、VDX 6720のデモを2011年10月までに1万人に体験してもらうプロジェクトを行っているという。