「ミリ波、広帯域化で部品レベルでも変調信号による評価が必要に」キーサイトが新製品

キーサイト・テクノロジーは、RF計測器の新製品説明会を開催した。「E5081A ENA-Xベクトルネットワークアナライザー」は神戸事業所で開発され、グローバル展開されている5G向けのネットワークアナライザー。1台で複数の項目の測定が行えるため、評価にかかる時間を大幅に削減することが可能だという。

キーサイト・テクノロジーは2023年11月30日、新製品説明会を開催した。

「E5081A ENA-Xベクトルネットワークアナライザー」(以下、E5081A)は、5G向けトランスミッター用パワーアンプ(PA)の特性評価を行うための計測器だ。

「E5081A ENA-Xベクトルネットワークアナライザー」

「E5081A ENA-Xベクトルネットワークアナライザー」

5Gでは、ミリ波など高い周波数帯が使われるとともに、帯域幅も4Gと比べて広くなっている。それに伴い、「電子部品は高度に集積され、その評価には幅広い測定項目をカバーする必要がある。また、PAなどの能動部品は、実動作状態で評価する重要性が増している」とキーサイト・テクノロジー CSG事業部 プロダクトマネージャーの平戸拓也氏は説明した。

キーサイト・テクノロジー 神戸開発 プロダクトマネージャー 平戸拓也氏

キーサイト・テクノロジー CSG事業部 プロダクトマネージャー 平戸拓也氏

PAは無線通信システムの品質を確保するうえで最も重要な役割を果たし、「きちんと線形性が確保されないと、携帯電話がつながらないといった事態を引き起こす」(平戸氏)という。

PAの非線形な振る舞いは、デジタル復調のエラーを生じ、ビットエラーレートが悪化することから、変調信号を使って非線形性を評価する必要がある。一般的に、帯域内の歪みはError Vector Magnitude(EVM)、帯域外の歪みはAdjacent Channel Power Ratio(ACPR)で表されるが、E5081Aは変調歪み解析と呼ばれる手法により、従来よりも確度の高い測定を行える。

変調歪み解析により、高い確度での測定が可能だ

変調歪み解析により、高い確度での測定を行える

また、E5081Aは44GHz帯まで測定できるが、内蔵アップコンバーターにより、6GHzの信号源の拡張で十分対応することが可能だ。よりコストのかかる高周波信号源が不要になるため、テストコストが大幅に削減されるという。

受信システムにおいては、入力S/Nと出力S/Nの比である雑音指数が重要な指標となるが、E5081Aはこの雑音指数も測定することができる。さらに、Sパラメーターや利得圧縮、パルスRF測定など従来の測定項目にも対応する。

1台で複数の項目を測定できる

1台で複数の項目を測定できる

幅広い項目を測定する場合、これまでは複数の測定器を用意しなければならなかったが、E5081Aであれば1台で済む。これにより、ハードウェア/ソフトウェアの初期投資や長期的なメンテナンスコストが削減される。また、「外付けスイッチなど追加のハードウェアが不要なので、いち早く市場に投入できる」(平戸氏)といったメリットがあるという。

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