2023年6月28日から30日まで「MWC Shanghai 2023」が中国・上海の上海新国際博覧中心(Shanghai New International Expo Centre、SNIEC)で開催された。
通信事業者4社、大手ベンダーをはじめ260社が出典
この3年間は、新型コロナウィルスの蔓延により2020年、2022年は開催中止、2021年はスペイン・バルセロナで毎年2月に開催される「MWC Barcelona」と開催月を入れ替えて縮小規模での開催が行われた。今年はMWC Shanghai開催10周年ということもあり、4年ぶりのフル開催となった。
米国の中国に対する通信機器の安全保障問題に端を発する、先進国での中国ベンダー外しの動きの影響からか、エリクソンとノキアは出展を取りやめ、クアルコムもカンファレンスへの参加に留まるなど、これまで参加していた欧米大手企業の多くが出展を取りやめた。2019年はSNIECの7ホールを利用していたが、今年は5ホールのみとなり、出展企業も4年前の約550社から260社へと半減している。
中国色が強まるも、「5G最大市場」の熱気は健在
そのため、以前にも増して「中国色」の強まったイベントと感じられたが、中国ローカルな展示会という印象はまったくない。4年前の中国市場は5G免許が交付されたばかりだったが、今や中国の5Gユーザー数は6億3400万に達し、5G基地局数も約273万となっている(2023年4月末時点、中国工信部データ)。中国は世界最大の5G市場であり、MWC会場内も「右も左も5G」と言えるほど関連製品やソリューションで埋め尽くされていた。
主催団体のGSMA(GSM Association)もブース出展やスタートアップ支援パビリオン「5G IN(5G INnovation)」を提供するなど、中国市場を重視している姿勢を見せた。
5G INパビリオンにはAI関連などスタートアップ企業が出展した
MWC Shanghai 2023のテーマはMWC Barcelona 2023と同じ「VELOCITY」。イベントテーマは「5G Transformation」「Digital Everything」「Reality+」の3つだ。5Gが社会生活や産業を大きく変革させるデモンストレーションの展示が多く、メタバース、デジタルツインなどあらゆるものがつながることで新たなビジネスを提案する出展も多かった。
また、5Gはクラウドやエッジコンピューティングと無線技術を融合させ、さらにAIを活用するなど通信業界以外のプレーヤーとの協業も加速させている。その一例として、レノボが今回初めて出展。スマートシティソリューションなどを展示した。