エレクトロニクス商社の丸文は、「ワイヤレスジャパン×WTP 2023」でローカル5Gソリューション、O-RAN(Open RAN)ソリューション、サービスプラットフォームの3分野を展示している。
ローカル5G・O-RAN機器を豊富にラインナップ
ローカル5Gソリューションで小さいながら存在感を示していたのが、イタリア・Athonet社の仮想モバイルコアだ。コンパクトなスターターキットには基地局装置、RUからSIMカードまで、5G-SAネットワークを構築するのに必要なコンポーネントをすべて含んでいるという。
イタリア・Athonet社の仮想モバイルコア(ローカル5G SA スターターキット)
また、運用に当たってのシミュレーションや試験のツールも豊富に用意する。英国・Ranplan社の無線伝搬シミュレーションツールは、7000機以上が登録されている無線機データベースとアルゴリズムによって、屋内外問わず高精度なシミュレーションを行い、ネットワーク構築の最適化に貢献するという。用途に応じて伝搬モデルを変更できるので、ローカル5Gの免許申請にも活用できる。
ローカル5Gのユーザーエクスペリエンスを保証するためには、Spirent社の評価ツールが利用できる。「Umetrix Video」は画質の劣化や遅延など、“ユーザーが実際に見た”映像の品質を評価するツールだ。ハブを通じ評価用PCと映像受信デバイスを接続すれば試験ができ、受信デバイスにアプリ等をインストールする必要はない。音声UXやデータ通信UXを評価するツールも備える。
Spirent社の映像UX評価ツール「Umetrix Video」
O-RAN(Open RAN)ソリューションでは、5Gネットワークの構築に必要な測定・解析機器を展示。英国・Calnex社や米国・Microchip社の同期解析装置や、ドイツ・Simens社のO-DU/RUエミュレーション装置など、グローバルで評価の高い各社の機器を機能ごとに紹介しており、O-RANを通じた5Gのさらなる発展に寄与することが期待される。
(左から)Simens社のO-DU/RUエミュレーション装置、英国Calnex社のPTP/SyncE同期解析装置(フィールド用、データセンター用)
商社ならではの新サービス
丸文はハードウェアだけではなく、商社という中立的な立場を生かしたソリューション「丸文サービスプラットフォーム」にも力を入れている。「各商品の組み合わせから閉域網やクラウド環境を相乗的に組み合わせることで、独自のサービス提供を可能」にしているという。
アメリカ・Tantiv4社の「REZRV」は、ネットワークの混雑を解消する組込みソフトウェアだ。AI・機械学習により通信を識別し、アプリケーションごとに帯域を管理することができる。オフィスにおいて、ビデオ会議ツールに帯域を優先的に割り当て、YouTubeは制限するということも容易だ。IoTネットワークの効率化にも役立つ。
ネットワーク帯域制御ソフト「REZRV」
6月リリース予定となる新サービスが「Net Predy」だ。これはネットワークの状態の監視・可視化やアラート発報を行い、情報システム担当者の運用負荷を軽減させるものだ。丸文 アントレプレナ事業部 IoT推進課 係長の吉井拓也氏は、「現在はリリースに向け、情シス担当者の方の意見を聞いているところ」と述べ、現場の声を反映したサービス開発に意欲的に取り組んでいる。
ネットワーク監視サービス「Net Predy」
ハードからソフトまで、丸文はネットワークの困りごとのよい相談相手となるだろう。