5G利活用型社会デザイン推進コンソーシアム(略称:5G-SDC)は、5G/ローカル5Gの利活用促進と新市場創出を図り、産業・社会のDXを推進することを目的に2020年9月に発足した。
5G関連のコンソーシアムは他にも複数あるが、運営委員長の長谷川史樹氏によれば、5G-SDCの特徴は、「ユーザー視点を重視した活動」にあるという。ローカル5G関連ソリューションを提供するベンダーだけでなく、ユーザー企業や各種業界団体、地方自治体等も参加しており、会員数は118に及ぶ(2023年1月17日時点)。
5G-SDC運営委員長の長谷川史樹氏(左、三菱電機 通信システムエンジニアリングセンター 標準化担当部長)と、
調査ワーキンググループ 主査の小林康宏氏(右、NEC 政策渉外部 担当部長)
その5G-SDCがローカル5G関連市場の調査を実施し、その結果に基づいて2030年までの普及ロードマップを策定した。2023年1月17日にそのサマリーを公開したのに合わせて、報道機関向けに説明会を開催した。
ローカル5Gの普及シナリオと乗り越えるべき課題
5G-SDCの調査ワーキンググループ 主査を務める小林康宏氏は、ローカル5Gの現状について次のように見解を述べた。
「2020年の商用サービス開始から約3年間、官民挙げて実証が行われてきたが、実装に至るものはまだ限定的だ。黎明期が続いている」
その要因については「ローカル5Gでなければできないことが確立されていない。費用対効果の壁や技術的な壁が存在している」と説明。今回の調査で「乗り越えるべき壁」を整理し、種々の課題が解決されることを前提に策定したのが下の普及ロードマップ/シナリオだ。
ローカル5G普及ロードマップのシナリオ
これまでローカル5Gの導入に向けてPoCを実施してきたのは大企業が中心であり、中小企業も含めて裾野が広がる「本格的な普及期は2025年以降になる」(小林氏)。それまでには「クリアすべき条件が多数存在しており、ベンダーやユーザーの共創が重要になってくる」とし、下図表のように、解消すべき課題を整理した。
。ローカル5G普及に向けて解決すべき課題
この中で小林氏が「最も重要な条件」としたのが、ローカル5G関連ソリューションが中小企業や小規模案件にも柔軟に対応できるようになることだ。「ユースケースの多様化のために欠かせない」とし、導入・運用コストのさらなる低減と、構築・運用の標準化・容易化等を進める必要性を強調した。