2020年春にサービスインした公衆網5Gや自営網5G技術であるLocal5Gなど平時を想定した情報通信の革新が進む中で、世界を一瞬で機能停止に陥れた新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により、全国民が情報通信の果たす重要な役割を再認識する結果となっています。
情報通信の進化は、臨場感のある遠隔での社会活動を可能とし、また、リアルタイムで大容量のデータを収集・解析して利活用し、パンデミックのアウトブレーク予測など社会の大きな動向を予測可能としたり、コロナと共に生きるための知恵を与える、強靱な知識集約型社会の形成に必須であることが明確となりつつあります。これらの動向から、今後2030年頃の実現をめざすBeyond5G/6Gの研究開発の推進に大きな期待が集まっています。
Beyond5G/6Gでは、通信品質向上の目標値(KPI)の向上だけではなく、インフラが自ら障害を予測したり自動修復をすることが期待される自律創発性や、従来想定されていなかった未開拓領域での情報通信の利活用ができるようになる「展開性・拡張性」が注目されています。また、これらの新たな可能性は、自営網技術の台頭に代表されるように、「情報通信の民主化」、つまり、情報通信の基本的なサービスを提供する主体が多様化し、バーティカル企業など一般事業者が通信を提供したり、サービスを融合して提供したりする動向、によって加速されることが期待されます。通信事業者や機器ベンダーが主導する従来のトップダウンアプローチだけではなく、現場発の仕様が将来の情報通信を定義するボトムアップの革新により推進されることが予見されます。
本講演では、5G, Local5Gと進化を遂げてきた情報通信を俯瞰し、我々がボトムアップで取り組む様々な活動を紹介しながら、今後の研究開発の方向性のあり方を議論します。