AWSが解説! 日本でも広がるオンライン診療の現状

AWSジャパンが2020年5月21日に記者説明会を開催し、同社のヘルステック領域における取り組みを紹介した。新型コロナウイルス対策のため行われた規制緩和により国内でもオンライン診療サービスの普及が期待されるなか、AWSを基盤としたサービス開発・提供のメリットについて事例を交えて説明した。

こうした需要の変化を受けて、MICINでは薬局向けのオンラインサービス「Curonお薬サポート」もリリースした。これは、電話による服薬指導を実施する際に、決済や医薬品の発送依頼までオンラインで行えるもの。原氏は、「オンライン診療からビデオでの服薬指導、決済、医薬品の発送・受け取りまで一貫して可能なシステムも開発している」と、今後さらに機能を拡充していく考えを示した。


将来的には、診療から服薬指導までを一貫してオンラインで受けられるシステムの開発を目指す

ヘルステック領域におけるAWS活用の「5つのメリット」
AWSジャパンの佐近氏によれば、ヘルステック領域においてAWSサービスを活用することで、大きく5つのメリットが生まれるという。

1つは、低コスト化だ。必要な時に必要なだけITリソースを利用できるようになる。「これまで累計で80回以上の値下げを実施してきている」(左近氏)と、コスト削減効果が大きいことを強調した。

2つめは、インフラ調達の俊敏性と弾力性の向上だ。

新たなサービスを開発する場合、インフラ設備のサイジングや調達の手続き・納品などに数週から数カ月の期間を要するが、「AWSなら数分、数クリックで必要なITリソースが調達できる」(同氏)。また、スケールアップが容易なため、膨大なコンピューティングリソースを必要とするシミュレーション等も迅速化できる。たとえばエーザイでは、従来30日かかっていたシミュレーションをAWS上で行うことで、1日で完了することが可能になったという。


同時に利用できるコア数の増加により、大規模計算の効率が飛躍的に向上した

3つめは運用負荷の削減だ。ITインフラの運用管理が不要になるため、空いたリソースをより優先度の高い業務に振り分けることができる。

特に、サーバーレスアーキテクチャを用いることで、サーバー管理やOSの保守、サイジングといった、レンタルサーバー利用時に必要となる運用業務がなくなる。「オンライン診療などは、需要変動の予測が難しい。そうした点を気にすることなく、ロジック開発などのより本質的な業務に注力できるようになる」(左近氏)ことも、大きなメリットだ。

たとえば、オムロンヘルスケアでは、ウェアラブル血圧計「HeartGuide」の測定データ管理にAWSのサーバーレスアーキテクチャを採用している。リソース管理が不要になり、スケーラビリティとアジリティが向上したことで、日米欧への迅速なサービス展開が可能になったという。


オムロン ヘルスケアのAWS導入効果

4つめは、幅広いAI/ML(機械学習)サービスが活用できること。そして最後は、セキュリティ、コンプライアンス対応だ。

日本においては、医療情報システムの構築・運用を行う場合に遵守すべきものとして、厚生労働省、経済産業省、総務省の3省がガイドラインを定めている。AWSジャパンでは、これらにAWS環境上で対応するための考え方や関連情報を整理検討した「医療情報システム向けAWS利用リファレンス」を作成。左近氏は、こうした取り組みにより、特に高いセキュリティとコンプライアンスが求められる医療分野でも安全にAWSが活用できるとした。

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