NTTコムがeSIMによるIoT向け新サービス――現地と変わらない速度・料金を実現

NTTコムが4月15日に開始したeSIMを活用したIoT向けサービスは、SIMを差し替えずに約196カ国・地域でデータ通信が利用できる。現地の通信事業者との直接接続による低遅延、料金の最適化も特徴だ。

国際ローミングにはない強みグローバルSIMサービスは、携帯電話事業者などからも提供されている。「IoT Connect MobileはeSIMであることに加えて、海外の通信事業者との接続方法の違いもこれらのサービスとの差別化ポイントになっている」とネットワークサービス部オープンネットワークサービス部門担当課長の大坪寛氏は語る。

従来のグローバルSIMは、提携先の現地通信事業者のネットワークをいったん相互接続網を介したうえでインターネットに接続するため、どうしても遅延が発生していた。国際ローミング料金は、各国の携帯電話事業者のグローバル連携により低廉化の方向にあるとはいえ、高額であることも課題だった。

一方、IoT Connect MobileはNTTコム独自のプラットフォームと、仏トランザテルのプラットフォームを組み合わせ、トラフィックの送信国により欧州、米国、アジアの3極にあるプラットフォームを適切に使用し、低遅延の通信を実現する。このため、工場監視や医療など、わずかな遅延も許されない“ディレイ・センシティブ”なアプリケーション利用にも対応するという。また、現地の通信事業者と同水準のローカルプライスを提供できるのも強みだ。

さらに、「プラットフォームを自社で開発することで、ユーザー企業ごとの多様なニーズにも柔軟かつスピード感もって応えられる」(大坪氏)という。

トランザテルのリソースを活用トランザテルは、この2月にNTTコムの完全子会社となったMVNO事業者だ。

同社はMVNEとしてフランスや英国、ベルギーなどで170以上のMVNO事業をサポートしてきた実績を持つ。近年はIoTに注力しており、150の国・地域(2019年3月時点)で現地の通信事業者との直接交渉・接続によるIoTネットワークを構築、競争力のある価格を実現するとともに、eSIM対応のWindows PCやスマートフォンへUbigiブランドで展開している。NTTコムのIoT Connect Mobileでは、トランザテルのリソースも活用することで、広範な国をカバーする。

NTTコムは2020年に国内でフルMVNOサービスの開始を予定している。国内および香港にあるフルMVNOのプラットフォームと、トランザテルのグローバルなプラットフォームを組み合わせ、Global IoT Enablerとしてグローバルでトッププレイヤーを目指したい考えだ。

月刊テレコミュニケーション2019年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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