企業ネットワーク最前線

NTTコムがeSIMによるIoT向け新サービス――現地と変わらない速度・料金を実現

文◎村上麻里子(編集部) 2019.04.17

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NTTコムが4月15日に開始したeSIMを活用したIoT向けサービスは、SIMを差し替えずに約196カ国・地域でデータ通信が利用できる。現地の通信事業者との直接接続による低遅延、料金の最適化も特徴だ。

 
NTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)は4月15日から、eSIM(embedded Subscriber Identity Module)を使い、日本を含む196の国・地域で利用できるIoT向け新サービス「IoT Connect Mobile」の提供を開始した。

従来のIoT向けモバイルサービスは、利用する国ごとに適したSIMを契約しなければならず、別の通信事業者のネットワークを利用する際はSIMを抜き差しする必要があった。これに対し、IoT Connect Mobileは、携帯電話のSIMに記録されている通信プロファイルを遠隔からネットワーク経由で書き換えることができ、NTTコムと契約するだけで、SIMを差し替えずに何カ国でもデータ通信を利用することが可能になる(図表1)。

 

図表1 従来のIoT向けモバイルサービスとの違い
図表1 従来のIoT向けモバイルサービスとの違い


同サービスの主な機能として、①SIMステータス管理、②ポリシー制御の2点がある。

1つめのSIMステータス管理は、「In-Active(休止中)」「Active(利用中)」「Suspended(利用中断)」といったSIMの状態をユーザー企業自らがオンデマンドで変更できる機能だ。SIMは最大1年(12カ月)間無料で保管することも可能で、海外への輸送期間中や未稼働状態は費用がかからない。このため、自社の都合の良いタイミングでIoTビジネスを始められるという。

2つめのポリシー制御は、月間通信容量や、月間通信容量を超過した場合のアクション(通信停止やアラート通知など)について、SIM1枚ごとにカスタマイズできる機能だ。

例えば、A国向けにはIoT用の小容量SIM、B国向けには固定回線の代替用としての大容量SIMというように、利用用途に合わせてオリジナルのSIMを作ることができる(図表2)。

「あらかじめSIMをストックしておけば、エンドユーザーのオーダーを受けてから迅速にプロファイルを作成し、SIMを出荷できる。B2B2Xの“ミドルB”のビジネスモデルにもお勧めしたい」とネットワークサービス部 販売推進部門 MVNO担当の青木貴史氏は話す。
NTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部 販売推進部門 MVNO担当 青木貴史氏(左)、同 オープンネットワークサービス部門担当課長 大坪寛氏(右)
NTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部 販売推進部門 MVNO担当 青木貴史氏(左)、同 オープンネットワークサービス部門担当課長 大坪寛氏(右)


SIMステータス管理やポリシー制御をはじめ、プロファイルのダウンロードや書き換え、SIMの追加、通信データ量参照などは、NTTコムが提供するポータル/APIから一元的に行うことが可能だ。

 

図表2 ポリシー制御機能のイメージ
図表2 ポリシー制御機能のイメージ


チップ型SIMの提供も準備産業用IoTデバイスは高温や低温、多湿など過酷な環境下で、しかも長期間使い続けることが多い。欧州電気通信標準化機構(ETSI)はM2M通信で求められる動作温度、耐湿度、データ保持期間、最小更新回数の要件を定義しているが、IoT Connect Mobileではこれらに準拠した「インダストリアルグレード」のSIMを提供する。さらに厳しい動作環境が要求される車載機器など向けには、温度耐性や振動耐性をより高め、データ保持期間や書き込み耐性を強化した「オートモーティブグレード」のチップ型SIM(MFF2)を提供する体制も整える予定だ。

IoT Connect Mobileを利用することで、複数の国・地域に製品を出荷している製造業などは、出荷先ごとにSIMを調達・管理する必要がなくなり、ポータルからSIMの在庫を一元管理することが可能になる。多国籍にビジネスを展開するだけでなく、SIerが特定の国に閉じた形でモバイルサービスを提供するような場合も、ポータル/APIですぐにサービスを始められ、ポリシー制御機能を活用したり、最適なプロファイルを選択できるといったメリットがある。また、海外出張の多い企業では、そのつどSIMを調達するよりも通信コストが削減されるという。

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