NTTコミュニケーションズ(NTTコム)のクラウドサービスである「BizCITY」。他のクラウド事業者とは違い、アプリケーションやサーバーだけでなく、ネットワークまでも一元的に提供する通信事業者ならではの「キャリアグレード」のサービスだ。ユーザーはBizCITYを採用することで、高品質でセキュアなサービスを低コストで利用することができる。
2008年に市場投入されたBizCITYは、当初から「いつでも、どこでもお客様にビジネス環境を提供する」というコンセプトでサービスを提供していたが、どちらかというと、“グローバル”“FMC”というキーワードでスタートしたサービスだった。その後、時代がクラウド/SaaSへと移り変わっていくなかで、NTTコムのクラウドサービスへと進化した。
同社はBizCITY事業単体の事業目標は公表していないが、クラウド等を含めたNTTコムグループのデータセンター関連事業では、2010年度で1000億円規模の売り上げを見込んでいる。その中心的な役割を果たすのはBizCITYだ。
本稿では、NTTコムのBizCITY事業戦略の全貌を、経営企画、プロダクト開発、営業というさまざまな角度から捉えてレポートする。
BizCITYのサービス概要と特徴
まず、BizCITYのサービスの概要を整理しておこう。当初からのコンセプトである「いつでも、どこでも」を実現する「BizCITY ユビキタスオフィス」(以下、ユビキタスオフィス)に加え、クラウド時代に対応すべく、ユーザー企業のデータセンター設備を預かって「必要な時に必要なだけ」利用してもらう「BizCITY ICTアウトソーシング」(以下、ICTアウトソーシング)とで構成している(図表1)。
図表1 「BizCITY」の概要 |
ユビキタスオフィスは、「Bizコミュニケーター」「Bizデスクトップ」「Bizリモートアクセス」の3サービスをラインナップ。クラウド型サービスであるICTアウトソーシングは、「Bizホスティング」「Bizメール」「Bizストレージ」「Bizセキュリティ」「Bizマーケティング」「SaaSアプリケーション」の6サービスを用意している(図表2)。
図表2 「BizCITY」サービスラインナップ(クリックで拡大) |
サービスラインナップについて経営企画部サービス戦略担当の成田大助担当課長は、「我々は常にお客様に分かりやすく見せるにはどうすればよいかを考えており、これですべて確定とは思っていない。今後もその時、その時の市況に対応しつつ、いかに分かりやすくするかを念頭に進化させていきたい」と語っている。
NTTコミュニケーションズ 経営企画部 サービス戦略担当 担当課長 成田大助氏 |