今やPCやスマートフォンはもちろん、エアコンや炊飯器、車など、あらゆるモノがIoT化し、ネットワークに接続される時代。その多くで使われているのがWi-Fi(無線LAN)である。
Wi-Fiが登場したのは今から20年以上も前のことだが、その後は進化を続け、2021年はWi-Fi6(IEEE802.11ax)の標準化が完了した。
Wi-Fi6では様々な新機能が実装された。例えばデータ変調方式が256QAMから1024QAMへと高度化したほか、1つのチャネルを複数の端末に分割して割り当てる「OFDMA」技術を採用。また、複数の端末にそれぞれ異なる電波を割り当て同時送信するMU-MIMO技術を上下方向で実装した。「これらにより通信の効率化、大容量化を実現しています」と通信計測カンパニー IoTテストソリューション事業部 第1ソリューションマーケティング部主任の有田朋子氏は語る。
アンリツ 通信計測カンパニー IoTテストソリューション事業部 第1ソリューションマーケティング部 課長の増原惠太氏(左)、同部 主任の 有田朋子氏
米国や欧州では6GHz帯を開放 すでに対応デバイスも登場現在、このWi-Fi 6をさらに進化させたWi-Fi 6Eが登場している。Wi-Fi6Eの最大の特徴は、これまでの2.4GHz、5GHz帯に加え、新しく6GHz帯の周波数帯にも対応したこと。6GHz帯は日本ではまだ開放されていないが、米国や欧州、韓国ではすでに開放されており、各国で対応デバイスも登場している。
Wi-Fi6Eの最大の利点は、これまで利用していなかった5.925~7.125GHzという最大1.2GHzに及ぶ広大な周波数が利用可能になることだ。日本では2022年4月に総務省から「6GHz帯無線LANの導入のための技術的条件」について一部答申が発表され、1.2GHzのうち500MHzの帯域幅を利用できる見通しとなっている。
帯域幅が広がったことで、1つのチャネルが最大で160MHz幅まで利用しやすくなった。従来からWi-Fi 6では最大で160MHz幅を利用できていたものの、現実的には2.4GHz帯と5GHz帯は混雑していることから、干渉等が起こりやすく、速度が低下してしまうなどの課題があった。それが新たに利用できる周波数が拡大したことで「今まで現実的ではなかった160MHzが利用可能になり、より高速・広帯域で快適な接続環境が実現します」と有田氏は言う。