NTTとスカパーJSATが宇宙事業の合弁会社、光データリレーを2024年度開始

NTTとスカパーJSATは今年7月、合弁会社Space Compassを設立する。両社が進める宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想の実現に向けた第1歩となる。静止軌道衛星や低軌道通信衛星、HAPSを用いたサービスを2024年度以降、順次提供する計画だ。

NTTとスカパーJSATは2022年4月26日に記者会見を開催し、宇宙統合コンピューティング・ネットワーク事業を担う合弁会社の設立で合意したと発表した。

新会社の名称はSpace Compassで、今年7月に設立の予定。NTTとスカパーJSATが90億円ずつ出し合い資本金は180億円、将来的には1000億円規模を目指している。代表取締役 Co-CEOには、NTTの堀茂弘氏とスカパーJSATの松藤浩一郎氏が就任する。

両社は昨年5月、新たな「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の構築に向けた協業を発表していた。NTTの澤田純社長は「Space Compassは宇宙・衛星事業の中核会社として、宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想を実現する第1歩になる」と語った。

 
 宇宙コンピューティング・ネットワーク構想の概要

新会社は当初、宇宙データセンター事業と宇宙RAN事業に取り組む。

宇宙データセンター事業は、宇宙における大容量通信やコンピューティング基盤の構築を目的としており、観測衛星などが宇宙で収集する膨大な各種データを静止軌道衛星(GEO)経由で地上へ高速伝送する光データリレーサービスを2024年度より開始する。

観測衛星から地上局に直接データを伝送する既存サービスは、地上局と通信を行うタイミングや電波による通信容量に制約がある。これに対し、GEO経由での光データ伝送を用いることで、既存サービスと比べて通信速度が約10倍向上するほか、準リアルタイムのデータ伝送を実現する。これにより、想定顧客である観測衛星事業者は観測性能を高めることが可能になるという。

 大容量・準リアルタイムデータ伝送が可能になる

宇宙RAN事業では、HAPS(高高度疑似衛星)による低遅延の通信サービスを2025年度に国内で提供開始することを目指す。成層圏からモバイル通信を提供するもので、超広域通信と災害の影響を受けない高度からのサービス提供により、災害時の迅速なインフラ復旧、離島やへき地へのカバレッジ提供が可能になる。

 離島やへき地もエリア化することができる

携帯キャリアがネットワークの広域化や強靭化、省電力化などを目的として利用することを想定している。エンドユーザーは、他の衛星サービスと違い、普段使いのスマートフォンを端末として利用することが可能だ。

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