<特集>ローカル5G超入門 「基本」から「一歩先」までこれだけは知っておきたい!ローカル5Gの基礎知識(3)導入・運用編

最終回となる3回目の「これだけは知っておきたい!ローカル5Gの基礎知識 」は導入・運用編だ。導入検討から運用までの流れや必要なコストなど、実際にローカル5Gを導入・運用するうえで知っておきたい基礎知識を解説する。

1 導入検討から運用までの流れローカル5Gを導入するにはどんな準備が必要で、運用開始までどの程度の期間がかかるのか。2021年11月に5G利活用型社会デザイン推進コンソーシアム(5G SDC)が発行した「ローカル5G入門ガイドブック」には、図表のように流れが示されている。運用開始までは約半年かかる。

図表 導入検討からサービス開始までのスケジュール

大事なのは、最初に導入目的と用途を検討・整理することだ。これにより、ローカル5Gに求める要件が明確化され、機器選定や性能測定・試験の基準が定まる。要件によっては、Wi-Fi等の他の通信規格のほうが適するケースも出てくるだろう。

次に、要件を満たす機器の選定、そして無線局免許の申請を行う。免許には、実証用の実験局免許と商用運用向けの本免許がある。

免許申請は「手続」にあらず

免許申請は管轄の総合通信局で行う。NSA方式を採用し、同一免許人がローカル5Gと自営等BWAを同じ場所で開設する場合は、1免許で両方が取得可能だ。

この免許申請が最初の、かつ最大の難関だ。申請書類は数十種類もあり、作成自体に手間がかかるうえ、単なる事務手続だけでは完了しない。

申請書には基地局の設置場所とカバーエリア等を記載する必要があり、申請前にシミュレータを使った無線エリア設計が必要だ。これには現地の電波状況の確認や基地局・端末の性能確認も含まれるため、一般的な企業が自ら行うのは難しい。SIer等の支援が必要で、免許申請手続すべてを代行する事業者もある。

これら一連の作業・手続の負荷を考慮し、申請書提出の2~3カ月前から総合通信局と事前打ち合わせを行うことが推奨されている。

申請後は総合通信局の審査が行われ、技術基準適合証明(技適)を受けていない基地局を用いる場合は、まず予備免許が交付される。

ここから構築フェーズに移る。

最初に実施するのが、ローカル5Gを利用する現地での電波測定・干渉調査だ。その後、基地局・コア設備を設置し、光ファイバーを敷設してネットワーク全体を設計・構築。端末から基地局、コアまでエンドツーエンドの性能測定を行い、それぞれ求める要件を満たせているかを評価する。

予備免許の交付を受けた場合は、基地局の設置・開通確認を行う「新設検査」が必要だ。技適を受けた基地局を用いる場合は、予備免許の交付と新設検査を省略できるため、運用開始までの期間を1カ月ほど短縮できる。

これらの工事と検査が完了し、落成届を提出してようやく本免許が交付される。申請から免許取得までの期間は約1.5カ月だ。その後、さらに電波伝搬特性の評価等を行い、運用開始となる。

運用フェーズに入っても、継続的な電波測定は不可欠だ。電波環境は変化しやすいため、保守・メンテナンスに加えて、他事業者との干渉にも目を光らせなければならない。電波の監視と障害対策が極めて重要だ。

月刊テレコミュニケーション2022年2月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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