データセンター市場は近年、飛躍的な成長を遂げており、需要の急増に応えるためインフラの増強が絶えず続けられています。
特にデータネットワークでは帯域幅の増加に伴い、ネットワーク機器間をつなぐ光トランシーバーモジュール(以下、光トランシーバー)の高速化が進んでいます。イーサネット規格の認証・普及促進団体であるEthernet Allianceによると、現在は25GbE(ギガビット・イーサネット)や100GbEへの移行が進んでおり、さらに400GbEの導入も始まっています。2022年には800GbEや1.6TbE(テラビット・イーサネット)が規格化されると予想されています(図表1)。
図表1 イーサネット規格の変遷とロードマップ
このように、何気なく使用している消しゴムサイズの銀色の電子部品が、高速化、小型化、低消費電力化のため絶えず技術革新を続け、ネットワークにおいて非常に重要な役割を担っているのです。
本連載では全4回にわたって、この光トランシーバーと光伝送技術について解説します。前半(第1回、2回)は光トランシーバーの構造と伝送規格について深掘りし、後半(第3回、4回)はより実践的な内容として、光トランシーバーにまつわるトラブル事例とその解決方法について説明します。
マクニカ クラビス カンパニー 技術統括部 加藤 利之氏