いまやDXは大手企業だけでなく、中堅中小企業にとっても欠かせない取り組みだ。しかし、実際のところDXの重要性は理解していても、費用が高く二の足を踏んでいるケースも見受けられる。
「多くの中堅中小企業ではこれまでも様々なソリューションを導入しており、これ以上の負担は難しいのが本音ではないでしょうか」。ティーピーリンクジャパン ISPマネージャーの皐月吉晃氏はこう指摘する。
ティーピーリンクジャパン ISPマネージャー 皐月吉晃氏
コロナ禍でリモートワーク体制を整えるため、Web会議システムやリモートアクセスVPN、クラウド移行などの費用が積み重なった。これらを支える土台やDXへの布石として、高速な無線LAN環境などネットワークインフラへの投資が必要だと理解していても、できるだけ費用は抑えたい。こうしたニーズに応え、中堅中小企業からの引き合いが増えているのがTP-Linkのネットワークソリューションである。
手軽さと安全性を両立 検証“済み”技術を実装TP-Linkは1996年に設立されたネットワーク機器プロバイダー。米IDCの調査では、2011年に無線LAN機器で世界シェアNo.1を獲得。その後、10年連続でNo.1を達成し続けている。「日本法人は2015年に設立され、日本市場に合わせた仕様にすることで、設立時から売り上げは増え続けています」と皐月氏は話す。また、昨年から無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)に参加しており、災害時に公衆無線LANを提供する統一SSID「00000JAPAN」に対応した製品も揃えている(利用にはコントローラーの「OC200」または「OC300」が必要)。
グローバルおよび日本市場で受け入れられている理由は、「手軽さ」と「安全性」を兼ね備えているから。例えば、人手で行っていた作業の自動化をネットワークに導入する際には、PoCなどを通した正確性の確認や、誤った結果を出したときの責任の所在の明確化など、様々な準備が必要となるため、それらの工数が大きな負担になる。「市場にはDXを謳い、最先端の技術をアピールしている製品は多いですが、その多くは必要とは限りません。当社ソリューションの特徴は最先端技術にこだわらず、標準化や検証が十分に完了した、広く使われている技術を採用していることです。ユーザーは検証の手間を省けるため、手軽に導入できます」
誤解が無いように述べておくと、TP-Linkは最新技術の活用には意欲的だ。例えば最新規格であるWi-Fi 6に対応した、天井取り付け型の無線LAN APの「EAP660 HD」を提供しているほか、メッシュWi-Fiの「Deco X90」ではAIを搭載しており、端末ごとに自動で最適なバンドやチャネルを選択することで安定性や速度を向上させている。
Wi-Fi 6対応の天井取付型アクセスポイント「EAP660 HD」
これらの技術は多数のユースケースでその安定性が実証されているものであり、ユーザーが新規にソリューションを導入した後、検証にかかる工数やリスクを最低限に抑えられるようにしているのである。また、安全性の面ではルーターが最新の無線暗号化プロトコル「WPA3」に対応するなどの対策が講じられている。
さらに、TP-Linkでは設計から生産までの工程を自社工場で完結させている。「そのため、余計な中間コストを抑え、低価格化に成功しています」
これらの取り組みから、他社製品と比べてコストを抑えることに成功しているのだ。
例えば、新製品のL2スイッチである「TL-SG3210XHP-M2」は、2.5Gbpsに対応したマルチギガビットのPoE+ポートを8つ搭載。10Gbps SFP+スロットも2つ備えており、理論値で9.6Gbpsまで高速化するWi-Fi 6を導入するためのインフラとして、十分信頼がおけるスペックだ。
マルチギガポートを8つ搭載したL2スイッチの「TL-SG3210XHP-M2」
ギガビットのPoE+ポートを48とSFPスロットを4つ備えた52ポートスイッチの「TL-SG3452P」、10GのSFP+を4スロットとギガビットPoE+ポートを24搭載した「TL-SG3428XMP」、PoE+ポートを24搭載した「TL-SG2428P」など幅広くラインナップする。
さらに小規模/ホームオフィスなどには、10Gポートを8つ搭載したアンマネージスイッチの「TL-SX1008」などを提供。また、ファン速度の自動調整によって低ノイズを実現しているため「大容量の映像を扱う企業における島HUBスイッチとしての用途などで引き合いを頂いています」