<特集>宇宙通信で変わる未来NTTが宇宙に行く理由「後追いで同じことをやっても意味がない」

宇宙ビジネスの時代、NTTに何ができるのか。NTTの答えは、「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の構築だ。「宇宙というフィールドは新しいが、インフラ作りという意味では地上と同じ」と意気込む。

近年、海外の宇宙ベンチャーによる低軌道(LEO)衛星コンステレーション計画が盛り上がりを見せるなど、宇宙ビジネスに注目が集まっている。衛星関連ビジネスの業界団体、サテライト・インダストリー・アソシエーションによれば、2020年の宇宙産業全体の市場規模は3710億ドル。モルガン・スタンレーの予測では、2040年に1兆ドルにもなる成長市場だ。

その宇宙ビジネスに、NTTが本格参入する。「人々の活動が宇宙へと広がっていく中、NTTとして何ができるだろうと検討した。海外の宇宙ベンチャーと同じような規模の投資はできない我々が、後追いで同じことをやっても意味がない。そこで違うアプローチを議論して出てきたのが、単に通信を中継する場として宇宙を使うのでなく、『コンピューティングとネットワークの中心軸を宇宙に持つ』という考えだ」とNTT 研究企画部門 R&Dビジョン担当 担当部長の堀茂弘氏は説明する。

この構想を具現化すべく、NTTは今年5月、スカパーJSATと業務提携契約を締結し、宇宙空間に新たなICT基盤「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」を構築すると発表した。HAPS(高高度疑似衛星)から低軌道衛星、静止(GEO)衛星まで、複数の軌道に配置した衛星でコンステレーションを形成し、通信サービスにとどまらず、分散コンピューティング環境も提供する。

図表 「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」のイメージ(画像クリックで拡大)

図表 「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」のイメージ

月刊テレコミュニケーション2021年8月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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