キタムラ機械とドコモ、5Gを搭載した次世代工作機械を共同開発

少子高齢化による担い手不足が深刻化する日本のものづくり。工作機械の高度化による操作の複雑化も、これに拍車をかけている。その解決策としてキタムラ機械が開発するのが、誰もが簡単に加工を行えるという工作機械。そこにドコモの5Gを実装することで、遠隔操作による省人化や低価格化を目指す。

キタムラ機械(本社・富山県高岡市)とNTTドコモ北陸支社は2021年3月23日、5Gを搭載した次世代工作機械「Auto-Part-Producer 5G」の共同開発を開始すると発表した。

(左から)キタムラ機械 北村彰浩氏、NTTドコモ 佐藤隆明氏

Auto-Part-Producer 5Gは、穴あけや削り、ねじ立てなど様々な加工を1台で行えるマシニングセンタに、製造する部品の加工プログラムを5Gを用いて伝送することで、遠隔から全自動での部品製造を実現するもの。

日本のものづくりは、少子高齢化による担い手不足に加えて、工作機械の高度化による操作の複雑化という課題を抱えている。そうした中でキタムラ機械は、「ものづくり初心者や工作機械の知識がない人でも、スマートフォンを操作するように簡単に切削加工を行えるように、工作機械の操作の簡易化に取り組んできた」と代表取締役社長の北村彰浩氏は話した。

2018年に開発した「Auto-Part-Producer」は、3Dの設計データを読み込むだけで工作機械の自動運転を行うことが可能だ。従来、加工を行うには工具の選定や加工方法、プログラムの作成などに関するノウハウが必要で、熟練者が行っていた。それをAIで処理することで誰でも簡単に工作機械を使えるようになった。

しかし近年、部品の複雑化により3Dデータが大容量化しており、LTEでは遅延が発生していた。今回ドコモと共同開発するAuto-Part-Producer 5Gでは、5Gの実装により、大容量の3Dデータをクラウドにアップロードして処理を行い、部品の加工に必要なデータを工作機械へ遅延なく伝送できるようになる。

Auto-Part-Producer 5G」の構成イメージ

また、工作機械本体に高性能なデータ処理機能を搭載する必要がないため、従来より3割ほど安価に導入可能になるという。

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