5G NR(New Radio)に対応する基地局設備向けのSoC「Zynq RFSoC」の開発・提供により、RAN(無線アクセスネットワーク)向けのビジネスを拡大しているザイリンクス。日本法人でカントリーマネージャーを務める林田裕氏は新事業戦略説明会において、通信市場の今後の見通しについて「O-RAN、オープン化と仮想化がトレンドになる」と話した。
林田氏が5G市場のトレンドとして挙げる「オープン化と仮想化」
O-RANは、通信事業者の主導によりRANのオープン化/インテリジェント化を推進する活動で、国内ではNTTドコモがO-RAN仕様に準拠した5G基地局設備を導入。NECや富士通を含めて国内外の基地局メーカーがO-RANに対応した設備を開発・提供している。林田氏によれば、「国内外でザイリンクスのSoCが採用されている」状況だ。「国内のメーカーにとっては、グローバル市場でのビジネス拡大の契機になる」という。
コアネットワーク/エッジ領域も含めて通信市場においては今後、次の4分野に注力していく。
2020年8月にザイリンクス日本法人の
カントリーマネージャーに就任した林田裕氏
1つめが「5G O-RU」だ。RUとは5G基地局のアンテナ部分のことで、これをCU(集約基地局)やDU(分散局)に収容して基地局を構成する。
この分野においては、2020年末に発表した新世代SoC「Zynq RFSoC DFE(デジタル フロントエンド)」を活用する。前世代に比べて処理能力を2倍にしながら消費電力を約半分に抑えており、O-RAN仕様にも対応。これにより、基地局展開の低コスト化と低消費電力化の実現に貢献する。
また、ザイリンクスが提供するAIエンジンの「Versal AI Core」を用いることで、「効率的なビームフォーミングも実現できる」と林田氏。5G RANのキー技術の1つであるMassive MIMOの実現にも取り組むとした。これが2つめの注力分野だ。