最大5.9Gbps トライバンドで多端末収容速度の面では、WLX413は無線区間が最大5.9Gbpsとなっている。高速化においてはWi-Fi 6に対応したことに加えて、2.4GHz帯1つと5GHz帯の2つのバンドを使う「トライバンド」技術を採用。計3帯域を同時に利用できるので、接続機器を増やしても実効速度を向上させることができる。
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ヤマハの歴代機との速度比較 |
トライバンド技術は「より多く」というポイントを実現する要素でもあり、「1台のWLX413で、2.4GHzで100、5GHz帯で200×2の合計で500台までの無線端末を収容可能だ」と牧田氏は解説する。
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WLX413では最大500台まで端末を収容できる |
現在は新型コロナウイルス感染症対策としての緊急事態宣言に伴い、出社制限をかけている企業も多いだろうが、以前からオフィスにある端末は増え続けている。一人の従業員がPCやスマホ、タブレットなど複数の機器を使うようになったり、位置測位用のIoTセンサーなどが入り始めているためだ。「最近では、従業員が扱うデバイスはPCやスマホ・タブレットなど複数台になっているため、1台で多くの端末を収容できることはメリットだ。オフィスに戻った時のためにも多くの端末を収容できるネットワークが求められる」と平野氏は語る。
なお、無線区間は最新のWi-Fiの暗号化規格である「WPA3」に対応している。また、WLX413はRADIUSサーバーとしての機能も内蔵し、セキュリティ面でも強化が図られている
コントローラーなしでも管理可能WLX413では企業ネットワークにおいて管理できる端末数も増やしている。企業ネットワークにおいて、複数台の無線LAN APを管理する場合は、別途「コントローラー」と呼ばれる専用のハードウェアまたはソフトウェアを導入するケースが多い。1台のコントローラーに複数のAPを繋ぎ、コントローラーから配下の機器に設定変更などを行う。
WLX413はAPでありながら、コンパクトなコントローラーにもなる「クラスター管理機能」を搭載している。この機能により、ネットワーク管理者はWLX413を介して配下の機器を制御することが可能だ。「設定の流し込みや、配下の機器へのソフトウェアアップデート、状態監視などの基本的な管理はコントローラーなしでも十分可能だ」と牧田氏は説明する。
前世代のAPである「WLX402」は最大49台までしか管理できなかったが、WLX413は最大127台まで管理可能で「事実上、1つの建物はWLX413ですべて管理可能だ」と牧田氏は語る。
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WLX413ではクラスタ管理機能により
配下のAPをコントローラーレスで管理可能 |
さらに、WLX413はヤマハのクラウド管理機能「YNO(Yamaha Network Organizer)」に対応している。基本的な設定や管理なら先ほどのクラスター管理機能で対応できるが、YNOを使えば対応している機器をネットワークに接続するだけで設定が完了する「ゼロコンフィグ機能」を利用できるほか、YNOのダッシュボード画面から管理対象の機器に関するWAN回線やVPNの接続異常などをグラフィカルに把握可能だ。
また、ヤマハではPoEインジェクターの「YPS-PoE-BT」も同時に発売する。インジェクターとはスイッチとネットワークカメラなどの機器との間に挟み、通信を中継する装置のこと。PoE++(IEEE802.3bt)に対応しており、「最大60Wの給電が可能で、通信速度も10ギガ/マルチギガビットに対応している。PoE++に対応しているインジェクターのなかでも最高レベルの速度だ」と牧田氏は語る。
Wi-Fi 6対応のAPなどを採用する場合、無線区間がギガビットクラスであるためネットワークのボトルネックが有線側になる恐れがあるため、導入の際はインジェクターもあわせて検討すると良いだろう
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PoEインジェクター「YPS-PoE-BT」
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