――2019年度はかなり好調でしたが、今期のこれまでの状況は。新型コロナの影響をどう見ていますか。
坪井 この4月に、従来の情報通信事業本部をベースとしたソリューションシステム事業本部と、ATMやプリンター、EMS事業を統合したコンポーネント&プラットフォーム事業本部の2つの事業本部による体制となりました。私が担当する前者がコトづくり、後者がモノづくりを担いつつ、両者を融合させていこうというのが基本方針です。
前年度の情報通信事業本部は売上・利益ともに目標以上を達成し、良い状態で中期経営計画2019の3カ年を終えることができました。今期もネットワーク関連事業、公共関係ともに堅調です。民需もコロナの影響は一部に留まっており、上期は計画を若干上回っています。ただし、下期に影響が拡大する懸念は依然としてあります。
コロナの影響として一番に感じるのは、やはりDX(デジタルトランスフォーメーション)に対するお客様の期待です。
DXという言葉は数年前からありました。当時はIoTやロボット、AIなどの新技術を活かそうという要素が強かったのですが、今は“ニューノーマル”にどう適用するのかがテーマになっています。個人生活も産業も大きく変化するなかで、それに対応するにはDXが必要です。この期待にしっかりと対応することで、新しいオポチュニティも増えてくると考えています。
あらゆる領域にAIエッジを――新しい中計2022では「社会課題の解決」を引き続き軸としながら、2019年度から手掛ける「AIエッジ」がOKI全体の事業の核に位置づけられていたのが印象的です。これまで3年の取り組みから、次の3年はどう進化させていきますか。
坪井 簡単に言えば、「AIエッジの適用範囲を広げる」ということです。
IoTを軸に社会インフラ分野の課題解決に取り組んできましたが、やればやるほど、エッジ側にAIが必要だということがわかってきました。それで2019年10月に、エッジでAIを動かすための専用ハードウェアとしてAIエッジコンピューター「AE2100」を出しました。その活用領域がコロナ禍で非常に広がっています。
また、AIエッジの考え方はAE2100以外の製品・ソリューションにも活かしています。ATMもプリンターもエッジであり、そこに映像解析や顔認証といったAI機能が入っていく。OKI全体が一貫してAIエッジの活用を志向しており、これを強みとして事業を拡大していきます。
――あらゆる領域でAIエッジが成長エンジンになると。
坪井 そこで大事なのがモノづくりの力です。エッジの環境はオフィス等とは異なる厳しい稼働環境が多く、そこでしっかりとAIを動かせるハードウェアも含めたモノづくりが欠かせません。コロナ禍でサプライチェーンの課題などが表出していますが、それも含めてしっかりとしたモノづくりをしていきます。