近畿大学とNTTグループ、5Gやスマートシティ・スマートキャンパスで連携

近畿大学とNTTグループ4社は11月24日、5Gの推進などに関する包括連携協定を締結した。西日本エリアにある6つのキャンパスで、医療や漁業、教育の各分野で5Gを活用した実証実験を行う。地域の産業への貢献として、地元企業にキャンパスの5G環境を開放することも検討する。

近畿大学とNTT、NTTドコモ、NTT西日本、NTTデータの五者は2020年11月24日、5Gの推進ならびに「スマートシティ・スマートキャンパス」創造に関する包括連携協定を締結したと発表した。

(左上から時計回りに)NTTの澁谷直樹氏、近畿大学の細井美彦氏、NTTデータの福西克文氏、NTT西日本の上原一郎氏、NTTドコモの坪内恒治氏(NTT提供)

近畿大学は東大阪をはじめ奈良や広島など西日本エリアに6つのキャンパスがあり、3万人以上の学生や教職員が活動しているが、夜間や休暇期間中にはほとんど人がいない状態になる。「キャンパスを仮想の都市空間と捉え、実際の市街では困難な実証実験の場として提供したい」と近畿大学 学長の細井美彦氏は語った。

クロマグロの完全養殖に成功したことで知られる近畿大学は、こうした独創的な研究を社会に活かすとともに、収益につなげることを目指している。

NTT 代表取締役副社長 副社長執行役員の澁谷直樹氏は「IoTやAIは、今や社会に対する実装を進めていく段階にある。近畿大学はフィールド実装力に強みを持つことから、連携させていただくことにした。近畿大学内での実証実験を通じてスマートシティやスマートキャンパスの実現を目指したい」と説明した。実証実験では、ドコモの5Gや西日本の光およびWi-FiなどNTTグループ各社の技術を活用する。

今回の協定に基づき、具体的には、近畿大学のキャンパスにおいて4つの取り組みを推進する計画だ。1つめに、近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)と関連病院であるくしもと町立病院(和歌山県東牟婁郡串本町)の間で、5Gを活用した高精細画像のリアルタイム送受信を行い、へき地での遠隔医療支援の実証実験を行う。

胎児エコーの診断に5Gの高速・大容量を活かし、4K接写カメラやエコー、CTスキャン画像のリアルタイム伝送および遠隔地からの専門医の問診を同時に伝送することで、診断の高度化にどう貢献できるかを実証する。併せて、災害時などの緊急医療でも病院の診療と変わらない、高度な医療支援体制が確保できるかについても検討を行う。

「将来的な構想として、5Gの活用により患者の主治医、遠隔の専門医など複数拠点を同時につないだシームレスな診療スタイルの確立を目指したい」とドコモ 常務執行役員 法人ビジネス本部長の坪内恒治氏は述べた。

2つめが、水中ドローンを用いた完全養殖マグロの状態監視の実証実験だ。魚は環境によって泳ぎ方がおかしくなったり、病気になると外見が変化するため、今なお海面からの目視で状態の把握が行われている。ところが、海面が反射して見えにくいことがあり、また人間が潜って海中の様子を撮影する場合には機材の準備や作業に労力を要する。そこで5Gと水中ドローンを用いて、魚の様子を詳細に把握できる高精細映像をリアルタイムかつ効率的に陸上からリモートで確認することで、養殖技術のさらなる向上に貢献したいという。

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