NTTコム丸岡社長「DXのプラットフォーマーへ。地域・産業・教育にまず注力」

「今後もチャレンジングな会社でありたい」。NTTコミュニケーションズの丸岡新社長はこう抱負を述べる。ICTを活用して社会課題を解決する「Smart World」の実現をNTTグループは目標に掲げるが、今年はまず「地域DX」「産業DX」「教育DX」の3つに力を入れると意気込む丸岡新社長。目指すは、企業のDXを支えるプラットフォーマーへの事業構造転換だ。(取材は2020年8月に実施)


――6月に社長に就任しました。NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)をどんな会社にしていきますか。

丸岡 NTT Comは1999年のNTTグループ再編により誕生しましたが、その大きな特徴はNTT法の規制を受けないということです。また、NTTComが担うのは県間通信やインターネット、グローバルなどの事業でしたが、特にグローバルはNTTグループにとって全くの新しいチャレンジでありました。私どもはいろいろなチャレンジを託される会社なわけで、今後も引き続きチャレンジングな会社でありたいと思っています。

NTT Comには、様々な事業領域で活躍できる社員が大勢いて、そのカルチャーも含めて、非常に豊かなダイバーシティがあります。こうした力をしっかりと結集し、さらにチャレンジングな会社として伸ばしていきたいと考えています。

――コロナ禍という社会全体がチャレンジを迫られる中での社長就任でした。デジタルトランスフォーメーション(DX)というチャレンジの必要性が一気に高まっているように見えます。

丸岡 私どもは「DX Enabler」として企業のDXに貢献するという方針を掲げ、ビフォーコロナのときからDXにチャレンジしてきました。では、ニューノーマルのDXは、質的、量的、速度的にどう変わるのか。この点については、しっかりと今から見極めていく必要があるだろうと思っています。

チーム力がリモート社会の鍵――国内企業のDXへの取り組みは加速しているのでしょうか。

丸岡 分散型のリモート社会に対応するためのソリューションへのニーズは明らかに高まっています。トラフィック量で語るのが分かり易いと思うのですが、緊急事態宣言期間中、OCNのバックボーンにおけるトラフィックは昼間帯で約5割、夜間帯でも約2割増加しました。一般のお客さま設備には影響ありませんでしたが、一部の企業向けのサービスにおいては、一時は新規の申込受付を停止しないと、ネットワークがパンクしかねない状況にもなりました。緊急事態宣言の解除後もOCNのバックボーントラフィックはコロナ前と比べて約2~3割増加しています。社会が分散型、リモート型に変容しようとしていることは間違いないと見ています。

ただし現状は、社員が出社しなくてもいい環境をどう確保するか、といった要望が多いように感じています。つまり今はまだ、分散型社会への暫定的な対処にとどまっています。

――企業のニューノーマルへの対応は、今からが本番ということですね。

丸岡 ニューノーマルの世界では、企業は恒常的なリモートワーク環境が必要となりますが、恒常的にリモートワークを行う上では、チームワークやチーム力が鍵になると思っています。

オフィスで皆が働いていたときは、すぐ隣に同僚がいて、ちょっとした相談や雑談が気軽にできました。しかし、リモートワークではそうはいきません。多くのお客さまと話していますが、経営者の方々は今、チームワークやチーム力がどうなっているかを気にされています。

個人の生産性という観点では、通勤による疲労が軽減されるなどリモートワークにはさまざまなプラスの面があると思います。当社の社員へのアンケート結果でも「生産性が上がった」という回答が約7割ありました。

一方で、チームとしての生産性はどうなのか。そのパフォーマンスを定量的に測ることは難しいですが、相談や雑談が気軽にできない点など、定性的には多くの方が課題も感じているわけです。

そこでNTT Comはオンライン上でも気軽にコミュニケーションできるサービスを開発しました。8月11日に発表した、オンラインワークスペース「NeWork(ニュワーク)」です。社外から招聘している技術顧問の協力も得ながら、アジャイル開発により若手エンジニアが完全リモートで内製しました。

――ニューノーマルのためのコミュニケーションツールというわけですね。

丸岡 「Web会議でできないコミュニケーションを実現する」というのがNeWorkのコンセプトです。隣の人と気軽に雑談したり、たまたま出会った人と立ち話したり、まるでオフィスにいるかのようなワークスペースをオンライン上で提供します。

例えば「Aプロジェクト」だったり「ランチ会」だったり、テーマごとに作られた「バブル」に参加すると会話がスタートします。バブルとは部屋のようなもので、バブルの中に入ると、そこにいる人たちの会話が聞こえてきて、自分も話せます。話しかけやすくするため、デバイスの状態によって自動更新されるプレゼンス機能も備えており、例えばマイクとスピーカーをミュートにすれば、自動で「集中モード」に切り替わり、同僚にも分かってもらえます。基本機能は無料で使える、いわゆるフリーミアムモデルで提供します。

月刊テレコミュニケーション2020年9月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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丸岡亨(まるおか・とおる)氏

1958年1月生まれ、熊本県出身。1982年、九州大学法学部を卒業後、日本電信電話公社に入社。2000年から1年間、マサチューセッツ工科大学へ留学しMBA取得。持株の広報室長を2003年から8年間務め、2011年にNTTコミュニケーションズへ。第一営業本部長、ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長などを経て、2018年6月に代表取締役副社長、2020年6月に代表取締役社長。愛読書は『竜馬がゆく』『論語と算盤』『氷川清話』。趣味は旅行、ゴルフ、スポーツ観戦(ラグビー、野球等)、美術館見学

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