KDDI2011年3月期中間決算はほぼ横這いの減収減益――固定通信事業で2Qの営業利益黒字化を達成

KDDIの2011年3月期上期決算は減収減益だったが、固定通信事業の営業利益が第2四半期で黒字化を達成。通期での黒字化も見えてきた。

KDDIは2010年10月22日、2011年3月期の上期決算を発表した。それによると、連結ベースの営業収益は前年同期比0.3%減の1兆7184億円、営業利益は同1.2%減の2479億円とほぼ横這いながら減収減益だった。

連結決算の内容 (クリックで拡大)

セグメント別では、移動通信事業の営業収益は前年同期比2.4%減の1兆3052億円、営業利益は同9.0%減の2477億円だった。シンプルコースへの移行拡大にともなう音声ARPU減が大きく影響し、スマートフォン投入の遅れ等の原因でデータARPUで音声ARPUの減少分を補えなかった。9月末のau契約数は3229万1000件で、累計シェアは28.0%となった。

固定通信事業の営業利益は前年同期比5.7%増の4385億円、営業損失は同186億円改善の37億円だった。だが小野寺正社長兼会長は、「第2四半期だけでみると、四半期ベースの営業利益は17億円と、黒字化を達成した」と語った。ちなみに、四半期ベースでの固定通信事業の黒字は2005年3月期の第3四半期以来という。9月末のFTTH契約数は174万1000件。また、9月28日にはケーブルプラス電話の提携CATV局が100局を突破し、9月末の契約数も115万2000件となった。

移動通信事業の決算内容 (クリックで拡大) 固定通信事業の決算内容 (クリックで拡大)

さらにKDDIは、この日開催した取締役会で、総額1000億円または23万株を上限とする自己株式の取得を決定した。取得期間は10月25日~2011年3月31日まで。小野寺社長は、「自社株買いをすることで、我々自身が“KDDIはまだまだ伸びると思っている”というメッセージを込めた」と語った。

下期について小野寺社長は、「市場や収益構造が大きく変化するなかでの持続的成長へ向けた事業構造改革をより推進していく」という。そのうえで、移動通信事業では、「スマートフォンの強化と電子ブックリーダー、Wi-Fiルーター、タブレット型端末等の新たなデバイスを積極投入」「データ利用推進、データARPU向上に向けた取り組みのさらなる推進」等、固定通信事業では「営業利益の通期ベースでの黒字化の実現」「J:COMとの事業シナジー実現に向けた取り組みのさらなる推進」等の課題を挙げた。

「IS03」で他社ユーザーを奪い取る

小野寺社長は、質疑応答でスマートフォン投入の遅れの原因に言及。「我々の力の入れ方がフィーチャーフォンに偏っていたため」と語った。さらに「スマートフォンについては、フィーチャーフォンから乗り換えられる形を取るべきと考えていた。例えばFeliCaやワンセグ等、お客様が必要とする機能を持ったものを最初から出そうと思っていたことも遅れた理由の1つ」と説明したうえで、「グローバルなスマートフォンを投入する手はあったと思う」と語った。

スマートフォン投入遅れの影響については、純増数の伸び悩みに加え、「他社への流出が出てしまったことが大きな問題だった」という。だが、11月下旬以降に発売する予定の「IS03」には従来のフィーチャーフォンの機能をほとんど搭載しており、「単純にお客様の流出を止めるだけでなく、他社から奪い取るというのも大きなターゲット」と語った。

スマートフォンの強化策 (クリックで拡大) au商品ラインナップの拡充 (クリックで拡大)

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