三井情報とシスコシステムズは2020年9月9日、三井物産のグローバルネットワーク基盤にシスコが提唱するネットワークアーキテクチャであるCisco DNA(Digital Network Architecture)を導入したと発表した。本ネットワーク基盤は2019年4月から順次利用を開始しており、2021年までに三井物産の世界65か国・地域132拠点で利用予定という。
三井物産は、多様な「個」が集まり、「偶発的な出会い」や「自発的なコラボレーション」を通じて新たな挑戦と創造を生み出す職場体験のあり姿を全社でつくり上げるために「Work-X」(Workplace Experience)を立ち上げ、新たな価値創造に向けた各種施策を推進している。
シスコによれば、三井物産が積極的にデジタルサービスを活用するこの取り組みを支えるためには、ネットワークの柔軟性や拡張性に加え、新本社ビルでは約8000人が場所を問わずどのデバイスからでもストレスなく自由かつ安全に情報へアクセスできることが求められていたという。このWork-Xを支えるネットワーク基盤として、三井情報がCisco DNAを提案。順次導入を進めることを決定した。
今回導入した三井物産グローバルネットワーク基盤は、Cisco DNAを全面採用した大規模構築事例であり、日本国内だけでなくアジアでも先進的な取り組みという。次の3種類の製品およびサービスを導入している。
(1) Cisco DNA CenterおよびCisco SD-Access
Cisco DNA Centerの導入により、コアネットワークからデバイスが接続するエッジまでのネットワークを仮想化し、ユーザ、デバイス、アプリケーションによって動的に通信をソフトウェア制御できるようにした。さらに、サービスに応じた優先制御をCisco SD-Accessで実現し、ネットワークのセキュリティおよび品質が向上した。
(2) Cisco Meraki
海外拠点のLAN環境に、構築・展開が容易に行えるCisco Merakiを導入した。デバイスをクラウド上で一元管理できるMerakiダッシュボードにより、ネットワーク状況を可視化できるため、運用コストの大幅な低減が期待できる。また、将来的な拠点追加などの拡張性や運用監視、ファームウェアアップデートなどがすべてリモートで対応できることも採用の決め手となったという。なお、今後は国内拠点への導入も検討している。
(3) Cisco SD-WAN
新本社ビルと海外拠点でCisco SD-WANを導入した。これまで国内外拠点からのインターネット接続は、すべてデータセンターを経由する必要があり、アクセス遅延の原因となっていたが、クラウド型のWebプロキシサービスも併用し、要件に合わせて各拠点からインターネットへアクセスすることで通信遅延の解消につながった。