まち全体をビジネスの場に、「デジタルゼネコン」をNRIが提言「3密を避ける」コロナ後のスマートシティ像は

コロナ禍で再構成を迫られているスマートシティ像。特に都市部であればあるほど、感染拡大防止策が重要となる。NRIはスマート技術の活用や、レジリエンス(復元力)強化の重要性を訴えると共に、今後は都市開発を推進するための「デジタルゼネコン」の結成を提言した。

「コロナ禍は都市問題だ」。野村総合研究所(NRI)プリンシパルの石上圭太郎氏はこのように説明した。

NRIは2020年8月27日、「第294回NRIメディアフォーラム:スマートシティ最新動向」と題したオンライン説明会を開催した。まず、石上氏はここ半年ほどの新型コロナウイルス感染者数の統計を示し、感染者の約70%が一都三県および大阪府と愛知県に集中していることを踏まえ、「感染者数の大都市圏への集中が際立っている」と指摘した。

(左から)NRI プリンシパル 石上圭太郎氏、グループマネージャー 又木毅正氏、
プリンシパル 高見英一郎氏
都市圏に感染者が集中する原因は大きく3つある。1つは人口集中によって、日常的にいわゆる「3密」状態になっており感染が集団に広がりやすいこと。また、通勤・通学などが多いことから、クラスターの移動によって感染者が拡大しやすいこと。そして人流の追跡・把握が難しいことから感染経路の把握が難しいためだ。

石上氏は「3密を防ぐためスマート技術、デジタル技術を活用する観点でスマートシティを捉えなおす」ことを提唱。人流分析や、Web会議など遠隔コミュニケーション技術、キャッシュレスなどの非接触を実現する技術が有効だとした。

都市部で3密を避けるためには人流分析などのスマート技術が重要だ

実際にアフターコロナを見据え、3密を避ける都市を設計する思想も出てきている。例えば、カリフォルニア美術大学講師のバネッサ・チャン氏など多くのデザイナーや建築家が、声で作動するエレベーターやハンズフリーの照明スイッチなどを組み込んだ建物の普及を考えている。「やはりエレベーターのボタンも触りたくないという人が増えている」(石上氏)。また、東洋大学教授の竹中平蔵氏がリゾート地などで在宅勤務し、必要な時だけ都心に出る「ワーケーション」スタイルを提唱していると石上氏は紹介した。

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