レッドハットのテレコム戦略「OSSとコンテナで5G網構築をリード」

5Gネットワークでは、仮想化やコンテナ技術がどのように活用されるのか。キャリアネットワークのNFV化をサポートしてきたレッドハットのシニアバイスプレジデント 兼 CTOを務めるクリス・ライト氏に、今後の展望を聞いた。

――最初に、通信業界とのこれまでの関わりから教えてください。

ライト レッドハットのビジネスの大半はエンタープライズ向けであり、通信事業者に対しても、ITシステムの基盤構築に貢献するかたちで以前から関わってきました。

それが変わったのは2012年です。通信業界から「ネットワーク機能仮想化のアイデアが欲しい」と相談が来始めました。そこから、クラウド技術を使って次世代インフラを実現するためのNFV(Network Functions Virtualization)の取り組みを進めてきました。

これまでオープンソースで、LinuxやOpenStack等を使ってNFVを実現するための様々な機能を提供してきています。また、ストレージや管理機能、運用自動化の領域でも多くの関わりがありました。

米Red Hat シニアバイスプレジデント 兼 CTOのクリス・ライト(Chris Wright)氏
米Red Hat シニアバイスプレジデント 兼 CTOのクリス・ライト(Chris Wright)氏。20年以上にわたるソフトウェアエンジニアとしての経歴を持ち、OpenDaylight、Open vSwitch、OPNFV、Cloud Native Computing Foundation等のオープンソースプロジェクトにも取り組んでいる

「水平統合」を目指して――NFVの取り組みでは何がキーポイントになったのでしょうか。

ライト フォーカスしたのは、次世代ネットワークを「シングルプラットフォーム」で実現すること、つまり、共通のプラットフォーム上で水平的な統合を行うことです。

従前はハードウェアとソフトウェアが垂直的に統合されていたので、ネットワーク機能を共通プラットフォーム化できません。共通のクラウド上で各機能を運用できるようにするにはどうすればよいのか。そこからNFVが始まりました。

これを実現するためのキーポイントがエコシステムです。認証制度を作り、ネットワーク機器メーカーやSIerも含めた多くのプレイヤーが協力してプラットフォームを構築する体制を作ってきたのです。

――NFVに取り組むベンダーは多くあります。そのなかで、レッドハットの優位点はどこにあるのですか。

ライト オープンソースソフトウェア(OSS)のコミュニティから得られるアイデア、スキルを活かせることです。これをどう製品化して、“使えるレベル”に持ってくるか。これができるのは、レッドハットをおいて他にはないと考えています。

通信事業者はベンダーロックインされない柔軟性を欲していましたから、OSSを使うことはその希望にも叶っていました。Linuxは仮想化/クラウドの世界におけるデファクトスタンダードとして使われていますし、RedHat Enterprise Linuxは事実上の業界標準と言っていいでしょう。RedHat OpenStack Platformも、NFVI(NFVインフラ)の標準プラットフォームとして採用されています。

月刊テレコミュニケーション2020年1月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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