「つながるクルマ」は内と外で守る コネクテッドカーセキュリティの最前線

5G時代、コネクテッドカーがいよいよ本格普及する。車両内に閉じていたネットワークがインターネットに接続することで、サイバー攻撃の脅威が増すことが避けられない。つながるクルマはどう守るのか。

あらゆるモノがネットワークにつながるIoT化は、自動車の世界にとっても無縁ではない。インターネットに常時接続可能で、情報通信端末としての機能を備えた「コネクテッドカー」(つながるクルマ)が徐々に普及している。

コネクテッドカーでは、例えば交通事故が発生した際に車両に搭載されているセンサーが異常を検知し、カーナビなどに使われているGPSと連動して車両の位置情報を自動で警察や消防に通報する緊急通報システム、クルマの盗難時、車両に搭載されているセンサーがドアのこじ開けなどを検知して持ち主のスマートフォンに通知するとともに、盗難車の位置情報を警備会社に通報する盗難車両追跡システム、ドライバーの走行速度やブレーキの回数、加減速の勢いなど細かなデータを基に保険料を個別に設定するテレマティクス保険などのサービスが可能となる。

コネクテッドカーは常時接続で大量のデータをリアルタイムにやり取りするため、高速大容量・低遅延・多数同時接続を特徴とする5Gの時代に本格的に普及が加速すると見られる。2035年には新車の9割以上がコネクテッドカーになるという予測もある。

しかし、物事には光と影がある。コネクテッドカーはより高い安全性と利便性をもたらす一方、侵入する「口」が増えることでハッカーにとって格好の標的となり、サイバー攻撃のリスクが高まることも避けられない。

よく知られているのが、SUV「ジープ・チェロキー」の脆弱性だ。2015年、2人のコンピューターセキュリティ専門家がジープ・チェロキーの安全実験を行ったところ、ハッキングにより遠隔操作できることが実証された。

車体には一切触れることなく離れた場所からクルマの制御を奪えるとあって、世間に与えた衝撃は大きく、製造メーカーの米フィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)は140万台のリコールを行い、車載ソフトウェアを更新する事態となった。

脆弱性が見つかるたびにクルマをリコールしていたのでは、自動車メーカーや部品メーカーは多大な損失を被る。米国では、脆弱性を持ったクルマを販売した自動車メーカーに対する集団訴訟も起きている。また、ひとたび事故が起きれば、ドライバーや通行人の生命に危険を及ぼすなど大きな被害をもたらす可能性も高い。従来、クルマのセキュリティといえば盗難防止を目的とした物理的な対策が中心だったが、コネクテッドカー時代には、サイバー攻撃対策も不可欠となる。

それでは、コネクテッドカーの守り方にはどのような方法があるのか。

月刊テレコミュニケーション2019年11月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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