今年4月にNECの執行役員に就任する以前は、日本IBM 執行役員としてWatson事業の舵を取っていた吉崎敏文氏。NECでは全社横断でのデジタルビジネスをリードしている。
これまでの半年間は、全社にまたがって蓄積されているデジタルトランスフォーメーション(DX)に必要なナレッジの体系化・フレームワーク化に主に取り組んできたが、次のステップとして「10月に新しい組織を立ち上げ、ビジネスを加速していく」と同氏は説明した。
NEC 執行役員 吉崎敏文氏
新組織「Digital Business Office」はDXの専任組織で、「リードコンサルタント」「ビジネスデザイナー」「デジタルエキスパート」の3つのチームからなる。
「スタートは100人。外部から採用したメンバーと、社内からのシフトのハイブリッドの組織だ。リードコンサルタントについては、“実装コンサル”にこだわっており、実装の経験がある人しか採用していない。泥臭い経験なくして、デジタルはできない」
DX専任組織「Digital Business Office」の概要
通信とITを統合したデジタルプラットフォーム全社ナレッジを体系化したフレームワークをもとにしたレファレンスアーキテクチャである「デジタルプラットフォーム」の提供を来年から始めることも明らかにした。
「レファレンスを使って、開発期間を短くする、コストを下げるということが実際にできる。新たに設計した画期的なプラットフォームだ」
NECのデジタルプラットフォームの全体像
吉崎氏がデジタルプラットフォームの特徴として強調した点は大きく2つ。まずは、顧客価値を起点にしたプラットフォームであることだ。
「誰にどんな価値を提供したいかが決まると、それに合わせて必要なインフラが決まっていく」
アプリケーションからネットワークまでが1つのアーキテクチャに統合されており、実現したい顧客価値に適したコンポーネントを選択できるようになっているという。
もう1つは、「通信とITの融合を意識して設計した」ことだ。吉崎氏は「5G時代になると、通信の重要性はもっと顕在化する」としたうえで、NECの強みは通信とITの両方の技術を持っていることと説明。しかし従来は「その強い通信技術とIT技術が別々にあった」ことから、今回のプラットフォームでは、通信とITを1つのアーキテクチャに統合したという。
通信とITの統合が今回のプラットフォームの大きなポイントの1つ。
具体的にはクラウドとネットワークのサービスを一体化して提供する