<特集>IoTの課題解決!10の最強メソッド(7)IoTデータは集まったけれど、有効活用できていません――他社連携で「宝の山」に

IoTを導入し、大量のデータは集まった。しかし、自社のデータだけでは想定通りの成果が得られそうにない。そんなときは、他社データなどとの連携を検討するのも一手だ。

パートナー企業をマッチングデータだけではなく、他社の知見やノウハウを組み合わせることも検討したい。

ソフトバンクは、携帯電話基地局で収集したデータを統計処理し、人の移動の流れを大まかに把握できる位置情報データを有している。このデータと建設コンサルタント会社パシフィックコンサルタンツの知見・ノウハウを組み合わせ、公共インフラを管理する自治体や関連企業向けに提供しているのが「次世代交通調査サービス」だ。パシフィックコンサルタンツが都市計画・設計を通じて蓄積した人の流れに関する知見・ノウハウを用いてデータ分析することで、移動ルートや移動手段、移動人数なども備えた人流データとして利用可能になっている。ソフトバンクの朝倉淳子氏によると、この人流データはイベント会場における広告や出店の計画、災害時の避難計画、不動産の需要分析、交通機関の混雑予測などにも活用できるという。

ソフトバンク IoT&AI 技術本部 IoT技術戦略統括部 統合推進部 部長 朝倉淳子氏
ソフトバンク IoT&AI 技術本部 IoT技術戦略統括部 統合推進部 部長 朝倉淳子氏

IoTに関する協業を支援するため、NTTドコモは顧客同士の“マッチング”にも取り組む。「同じデータでも、見る人によって“宝物”になる可能性がある。そこを我々がマッチングすることで、ドコモとしての付加価値を打ち出すこともできる」と同社 IoTビジネス部 ソリューション営業推進 コンサルティング営業推進担当課長の三谷秀行氏は語る。

一例が、家庭用蓄電システムだ。ドコモは、蓄電池メーカーと住宅メーカーをマッチング。併せてセンサーを設置してIoTソリューション化することも提案した。これにより蓄電池メーカーは、住宅向けにセキュリティや見守りなどの遠隔監視サービスを提供可能になり、新たな収益を得られるようになった。一方、住宅メーカーも安価にホームIoTを実現することができた。

「今後さらに地震センサーを追加すれば、そのデータをもとにこれまでの地震でどのようなダメージを受けたかといった推計も行える。そのデータをメンテナンス業者に提供することで修繕サービスの提案につなげるなど、新たなビジネスの広がりも考えられる」と三谷氏は言う。

データ収集の段階で想定通りに行かなかったからといって、「IoTは失敗した」と考えるのは早計に過ぎるといえそうだ。

月刊テレコミュニケーション2019年8月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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