今、美容とテクノロジーを融合した「ビューティーテック」が美容業界で注目を集めている。昨年、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」を運営するアイスタイルは、2018年を「ビューティーテック元年」と呼んだ。今年1月に米ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市「CES」でも、ARを使ったメイクシミュレーションや顔のシミを検知して最適なコンシーラーを塗布するIoTデバイスなど、コスメ・美容とデジタルテクノロジーを融合した様々なソリューションが出展された。
資生堂独自の知見×IoT国内でもビューティーテックをめぐる動きがいよいよ熱を帯びてきた。資生堂は7月1日、IoTスキンケアサービスブランド「Optune」を本格展開すると発表。ユーザー1人ひとりのその時々の肌状態に合わせてケアが変わるIoTパーソナライズスキンケアだ。
Optuneの専用IoTマシンとスキンケアカートリッジ
ユーザーはまずスマートフォンの専用アプリで肌の水分量やキメ、毛穴、皮脂などを測定。次にその時の気分や生理周期などを入力する。これに加え、外的要因として気温、湿度、紫外線、花粉、PM2.5などの環境データが、ユーザーが設定した居住エリアを基に、アプリによって自動で収集される。またアプリに内蔵された睡眠測定機能によって、肌に悪影響を及ぼす睡眠中の覚醒なども自動で検知・収集される。
これらのデータはクラウドに送信され、Optune独自のアルゴリズムによって8万通りの抽出パターンの中からその時の状態に最適なスキンケアを分析。結果は自宅のWi-Fiに接続した専用IoTマシンに送られる。マシンには5種類のスキンケアカートリッジがセットされており、受信した結果の通りに調合したスキンケアを抽出する。洗顔後のスキンケアがOptuneだけで完結するため、肌の状態に合わせたスキンケアを選択する手間が省ける。またスキンケアカートリッジの残量が自動で管理され、残量が少なくなったものは無くなる前に自動で配送されるため、実店舗に買いに行く必要もない。
図表 Optuneのシステム概要
資生堂はOptuneのターゲットを「日々忙しくも充実している、30代から40代の女性」と設定している。資生堂ジャパン 代表取締役社長 杉山繁和氏は、「女性の就業率は70%を超えた。女性たちは日々充実した時間を過ごしているだろうが、仕事、家事、育児、自分の趣味などやりたいことはまだまだ沢山あるだろう。時間が足りない彼女たちにぜひOptuneを使ってもらいたい」と思いを語る。
料金は月額1万円。資生堂初のサブスクリプションサービスとなる。資生堂ジャパン 次世代事業開発部 Optuneブランドマネージャー 川崎道文氏は「OptuneによってBaaS(Beauty as a Service:美容のサービス化)をリードしていきたい」と意欲を示す。