オフィス外で活動する社員が多いファミリーマートは働き方改革の一環として、社外で働く社員と拠点内の社員が効率よくコミュニケーションするための仕組みを整えてきた。
なかでも大きな変化をもたらしたのが、2017年10月に実施したiPhoneの全社展開だ。それまで管理職やスーパーバイザー(SV)、店舗開発の担当者らに貸与していたiPhoneを、約6000人の全社員に支給。電話の取り次ぎを減らすため、iPhoneで直接連絡を取り合うようにした。
また、Googleのクラウドサービス「GSuite」も導入し、どこにいてもiPhoneでメールが使え、Googleドキュメントで文書の共同編集等も行えるようにした。これらICTツールの導入と社員のサポートを担当するシステム本部システム基盤構築部 システムソリューショングループの堀口典秀氏は、「現場で働く社員は1週間に一度しか拠点に来られない人も多く、コミュニケーションが取りづらい。その溝を埋めるための取り組みを進めてきた」と話す。
Googleハングアウトのチャット機能やビデオ会議も利用しており、「利用頻度は相当高い」という。
(左から)ファミリーマート システム本部 システム基盤構築部 システムソリューショングループ マネジャーの髙森卓氏、原口八世伊氏、堀口典秀氏 |
Web電話帳刷新の2つの決め手続いて2019年2月には、約1300人が勤務する本社オフィスをフリーアドレス化し、従来は部署ごとに分かれた固定席、いわゆる“島型”で働いていた環境を一気に変えた。固定電話機も4人に1台まで大幅に削減している。
この時に新たに導入したのが、Phone Appliが提供するWeb電話帳「連絡とれるくん」だ。連絡を取りたい相手の電話番号等を氏名や部署名で検索できるクラウドサービスである。
連絡を取りたい相手を氏名や部署名で検索。表示された電話番号をタップして発信できる
ファミリーマートではそれ以前から他ベンダーのWeb電話帳を使っていたが、フリーアドレス化を機に刷新した理由は大きく2つある。
1つは、連絡とれるくんのオプション機能である「居場所わかるくん」が必要だったこと。これはその名の通り、検索した社員の現在位置をオフィスマップ上に表示する機能だ。Wi-Fi電波によって屋内測位を行う仕組みである。
直接会いたい場合には、オフィスのマップ上に相手の現在位置を表示することも可能だ
システムソリューショングループの原口八世伊氏は、フリーアドレス化に当たって「誰がどこにいるのかがわかるようにする必要があった」と話す。社員数が多いうえ、部署間をまたぐコミュニケーションの頻度も高いため「顔も知らない相手と、直接会う機会も少なくない」からだ。
また、連絡とれるくんには顔写真を登録できる機能があり、これも評価が高い。同グループのマネジャーを務める髙森卓氏は、「顔写真があれば、初めて会う人でもイメージが湧く。フリーアドレスでも顔がわかり、居場所もわかるため、打ち合わせなどもスムーズに行える」と話す。
なお、検索機能そのものも、少ないタップ数で目当ての電話番号が表示できるため、連絡とれるくんは使いやすいと髙森氏は評価する。