アライドテレシスは2019年4月11日、2019年の事業戦略を発表した。
情報セキュリティ分野の人材不足が2030年には約19万人に及ぶことやサイバー犯罪の増加を背景に、セキュリティ関連事業を強化する方針だとした。
同社はシステム導入支援やネットワーク統合管理サービスなど、各種サービスを「Net.Service」というブランドで展開しており、今回新たなカテゴリーとしてセキュリティ関連サービス「Net.CyberSecurity」を追加する。その第1弾として脆弱性診断サービスを5月に提供予定だ。
脆弱性診断サービスは、「WEBサーバー診断」と「LANシステム診断」の2つから構成されている。
WEBサーバー診断サービスは、外部のWebサイトに対してHTTPレスポンスやソースコード中のスクリプト等を確認し、5段階で安全性を測る。クラウドベースのサービスであることやユーザーが行う設定・操作が簡単であることが特徴だという。
WEBサーバー診断サービス ホーム画面
診断結果一覧
結果の詳細
また、サービス最大の特徴だというのが、「HOW TO FIX」と呼ばれる機能。脆弱性が発見された箇所の修正方法を、具体的なソースコードでユーザーに示す機能だ。
HOW TO FIX。ソースコードの修正の具体例も示す
LANシステム診断サービスでは、企業内部のネットワークの脆弱性を診断する。各部門のネットワークを図示した脆弱性マップなどが特徴だ。
LANシステム診断サービスのダッシュボード画面
ホスト別の診断結果詳細画面
どちらのサービスもPDFで出力ができ、企業内部での報告書や履歴管理に活用できるとしている。
サービスを利用開始するには、まず同社のポータルサイトで登録を行う。WEBサーバー診断は、その後の設定や実行を全てウェブ上で行える。LANシステム診断については、登録後に送付されるハードウェア「診断サービスBox」を社内のネットワークに繋げ、アライドテレシスのクラウドプラットフォームから設定を行う。今後、プラットフォームからプラグインの提供も予定しており、ユーザーが使いたい時に使いたい機能だけ使えるようなサービスを目指しているという。
参考価格は、LANシステム診断サービスが10IP・3カ月利用で9万円、10IP・12カ月利用で20万円前後を予定している。WEBサーバー診断サービスの価格は現時点では検討中としている。
上級執行役員・サイバーセキュリティDevops本部本部長の中島豊氏は、同サービスについて「最大の特徴は、情報システム部がない企業でも5クリック程度で検証ができるところ。どこにどんな脆弱性があるか一発で分かる。Webサイトに関しては修正方法まで提供できるというのが他社にはない点だ」と語った。
上級執行役員・サイバーセキュリティDevops本部本部長 中島豊氏
同氏は、東京大学の産学連携プロジェクト「東大グリーンICTプロジェクト」への加入や、他社のセキュリティ企業との連携によってネットワーク以外の分野についても様々な知見が集まっているとし、これらを活かしてセキュリティ関連事業を強化していく考えを述べた。
また、同社は新たに、イーサネットケーブルの敷設工事が不要な無線LAN技術「AWC Smart Connect」を開発したと発表。無線LANアクセスポイント同士を無線接続できるため、イーサネットケーブルの敷設工事や上位スイッチの設定変更が不要なことから、従来の10分の1程度の工期で無線LANを導入・運用できるという。
AWC Smart Connectの特徴
従来の工数の10分の1に削減できるという
さらに、同社の提供しているセル型・チャンネルブランケット型の2方式を1つのアクセスポイントで実現する「AWC-CB(Autonomous Wave Control Channel Blanket)」という技術と組み合わせることで、途切れない安定した通信環境も構築可能とのこと。無線の高密度化によって、端末位置の可視化をより高精度に行え、工場や病院での動線管理や資産管理にも活用できるという。
AWC-CBの構成
端末位置の見える化を実現
工場や病院での動線・資産管理を想定している
AWC Smart Connectは今年の9月にリリースを予定している。
上級執行役員 マーケティング統括本部 統括本部長の佐藤誠一郎氏は、「従来、無線の設計やメンテナンスは手間がかかる上に不安定だった。AWC Smart Connectで、誰でもどこでも気軽に、作って使える無線LANを展開していきたい」と思いを語った。
上級執行役員 マーケティング統括本部 統括本部長 佐藤誠一郎氏