sXGP専用スマホが登場へ日比氏によれば、sXGP自体にも解決しなければならない課題があったという。
1つが端末の供給体制だ。前述のように、sXGPの大きな特徴は、既存のLTE端末をそのまま利用できることだ。「国内で販売されているBand39対応端末のほぼすべてがsXGPの技術基準を満たしており、技術的には問題なく利用できる」と日比氏は説明する。
ただ、実際にsXGP端末として利用するためには、メーカーや輸入業者が改めて技術基準適合証明(技適)を取得する必要がある。すでにいくつかのスマートフォンやVAIOのノートPCなどが技適を取得しているが、sXGPの市場性が見通せない中、手間と費用をかけて技適を取得するメーカーは今のところ多くない。
また、事業所コードレス端末として用いる場合、高機能化が進んだLTEスマートフォンはそもそも高過ぎるという問題もある。
そこでバイセルズはsXGP専用のスマートフォンを自ら開発すると決断。2019年3月に「BaiPhone-Q8001」を発売すると11月に発表した。BaiPhone-Q8001は、ある海外メーカー製端末をベースにしており、価格を抑えるため、公衆LTEとの接続機能をカット。発表されている価格は2万9000円だが、「それよりもかなり安く提供できる」と日比氏は語る。ガラケー型や固定電話機型のsXGP端末の供給も検討しているそうだ。
2つめの課題は、LTEシステムでパケット交換などの役割を担うEPC(コアネットワーク)が高価であることだ。この課題に関しても目途が付きつつある。
バイセルズが、簡易なEPC機能をソフトウェアで搭載したsXGPアクセスポイントを10万円台で提供するからだ。これなら中小企業やSOHOでも容易にsXGPを導入できる。
大企業向けについても、1万ユーザーに対応できるEPC製品を100万円強で提供し、導入ハードルを引き下げるという。
パートナー企業を通じて、EPCの機能をクラウドサービスとして提供することも計画している。
こうした端末・サービス提供計画を念頭に、「2020年には少なくとも3ケタの企業でsXGPが利用されるだろう」と日比氏は話す。その頃にはPHSの主要パーツの在庫も底をつくと見られており、「事業所コードレスのsXGPへのリプレースが本格化していく」と予想する。