IoTビジネス共創ラボは、日本マイクロソフトと東京エレクトロンデバイスらが中心となり、Microsoft Azureを活用したIoTプロジェクトの促進や共同検証などを通じて、IoTの普及とビジネス機会の拡大を図ることを目的として2016年2月に設立された。
それから3年、一般会員として参画する企業は560社に拡大した。産業別のワーキンググループのほか、“地域版ラボ”も次々と発足。2017年にはふくしま、北海道、中部、かわさきに、2018年には柏の葉、石川・金沢、みやぎにラボが発足し、全国にその取り組みが広がっている。
地域版 IoTビジネス共創ラボ設立の経緯
2019年1月22日に開催された日本マイクロソフト主催のイベント「IoT in Action Tokyo」で、これまで3年にわたるIoTビジネス共創ラボの取り組みとその成果が発表された。ここでは、ラボを起点として生まれたIoT事例をいくつか紹介しよう。
除雪車をコネクテッド化した石川県加賀市
石川県金沢市に本社を置く北菱電興が開発し、同県加賀市が採用したのが、IoTによって除雪車の運行管理を行うシステム「スノプロアイ」だ。
加賀市が導入したスノプロアイの概要
スマートフォンをベースとした端末を除雪車に搭載し、NTTドコモの閉域網を経由して運行状況データをAzureに収集。除雪作業を請け負う業者や加賀市の職員がリアルタイムに除雪作業の進捗を把握できるほか、作業後の報告書作成も自動化することで運行管理業務を効率化する。
2018年2月には石川県や隣の福井県の幹線道路で、積雪によって車両の運行が長期間ストップする事態となったが、加賀市では従来、除雪車の作業状況が把握できないことが課題になっていたという。積雪時には市内各所で多くの除雪車が稼働しているため、現在地を知ることはおろか、指示通りに適切な場所で作業を行っているかを把握することも難しかった。
スノプロアイのシステムイメージ
そこで、スマートフォンで取得したGPSデータや撮影した画像データをAzureに集め、運行状況をリアルタイムに可視化。報告書管理も効率化した。スマートフォンとAzureとの間をNTTドコモの閉域網で接続することで、回線が混み合うような事態でも確実に通信が行えるよう工夫している。
すでに2018年末の積雪時にも稼働しており、加賀市と受託業者との間のやり取りもスムーズになるなど様々な効果が上がっているという。