IoTで家事を効率的に! 共働き世帯の増加でニーズ拡大

時代が変化しても、家事の担い手は主に女性だ。仕事を持つ女性が増えるなか、家事の負担軽減に対するニーズが高まっている。IoTの活用により、家にいなくても効率的に家事をこなすことが可能になってきた。

自己実現や老後の不安など、様々な理由から結婚後も仕事を続ける女性が増えており、共働き世帯はすでに1000万世帯を超えている。

仕事を持つ女性にとって、家事との両立は大きな課題だ。総務省「社会生活基本調査」によると、共働き世帯の妻が家事関連に使う時間は1日平均約3時間、子供がいたり両親と同居している場合には4時間以上となっている(育児や介護、買い物の時間を含む)。一方、専業主婦はより多くの時間を家事に費やしており、1日平均5~8時間に上る。

多くの家庭では今なお家事の大半を女性が担っており、仕事の有無に関わらず大きな負担となっているのが実情だが、こうした家事の負担を軽減できるIoT家電が登場している。料理・洗濯・掃除の「三大家事」における最新動向を紹介する。

食材に合わせた料理を提案シャープは2018年8月、プラズマクラスター冷蔵庫「メガフリーザーシリーズ」4機種の発売を開始した。このうち「SJ-GX55E/GX50E」の2機種はWi-Fi機能を搭載しており、同社のAIoT(AI+IoT)クラウドサービス「COCORO KITCHEN」と連携する。

冷蔵室扉の液晶ディスプレイでCOCORO KITCHENを呼び出すと、「ウォーターオーブン ヘルシオ」や「ヘルシオ ホットクック」などシャープの調理家電と連携することができ、献立提案から調理までをサポートする。

あらかじめスマホの専用アプリに冷蔵庫内の食材を登録しておくと、献立の相談履歴や食材の購入履歴からお薦めのメニューや旬の食材を使ったメニュー、購入したまま使っていない食材を活用したメニューが液晶ディスプレイに表示される。ヘルシオやホットクックを使って簡単に調理できるメニューであれば、そのレシピをこれらの調理家電に送信し、食材を投入してボタンを押せば、すぐに料理を始めることができる。

従来のモデルは、鍋やフライパンを使ったメニューのみの提案で、種類も500程度だった。それがヘルシオやホットクックとの連携により2000種類まで拡大した。

「ヘルシオやホットクックは食材を入れるだけで調理できるので、時短につながる。鍋やフライパンでの調理と同時進行できるので効率的」とシャープ IoT HE事業本部 メジャーアプライアンス事業部 商品企画部主任の加治木義孝氏は説明する。

購入履歴から消費サイクルを学習し、食材の買い忘れがないかをアプリに通知する機能も備える。購入した食材を保存する際は、冷蔵や冷凍などそれぞれに最適な保存方法もアドバイスする。

図表 シャープのプラズマクラスター冷蔵庫・ヘルシオ・ホットクックの連携イメージ[画像をクリックで拡大]
図表 シャープのプラズマクラスター冷蔵庫・ヘルシオ・ホットクックの連携イメージ

新製品であるSJ-GX55E/GX50Eでは、伝言機能も新たに加わった。

外出先からスマホやタブレットを使い、「冷蔵庫にプリンがあるから食べてね」といったメッセージ(最大70字)を冷蔵庫に送信することが可能だ。メッセージは液晶ディスプレイに表示され、開封状況がアプリに通知されるので、家にいなくても子供が無事に帰宅したことを確認できる。

AIoTの機能に対応しているのはフラッグシップモデルであり、AIoTを目的に購入する人ばかりではない。それでも半数近くがAIoTを利用しており、購入者を対象にした任意のアンケートでは、7割がAIoT機能に「満足」と回答したという。

「今後もAIoTならではの冷蔵庫の機能を追加していきたい」と加治木氏。アプリに入力しなくても冷蔵庫が中の食材を検知し在庫を管理する機能や、製氷室のカートリッジの交換時期を通知する機能などの開発を目指している。

月刊テレコミュニケーション2018年12月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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