注目の新興LPWAの勝機(後編)本格始動したソニーのLPWA「ELTRES」とは?

Sigfox、LoRaWANに、LTE-M、NB-IoTと、LPWAの選択肢は大きく広がった。しかし、まだ終わりではない。大きなポテンシャルを持つ2つの新興LPWA規格「ZETA」と「ELTRES」を紹介しよう。後編では、ついに本格始動したソニーのLPWA「ELTRES」にフォーカスする。

2017年4月にソニーが発表し、これまで“Sony’s LPWA”と呼ばれてきた独自規格のLPWA技術の名称が「ELTRES」に決まった。ETSIにおいて国際標準規格として公開されたことを受けて、ISP事業などを手がけるソニーネットワークコミュニケーションズが9月28日からプレサービスを開始している。同社のIoT事業部門 事業推進1部 ELTRES IoTネットワーク プロジェクトマネージャーである永井直紀氏は「お客様ニーズを確認するとともに、受信機やデバイスの開発、バックボーンも含めたネットワーク設計の確認等を進めて、なるべく早く本サービスをやりたい」と話す。

プレサービスの提供エリアは東京都(一部地域を除く)で、利用料は1000円。利用期間は最大3カ月で、通信サービスのほかIoTアプリケーションと専用送信端末を提供する。

図表 ELTRESのサービスイメージ
図表 ELTRESのサービスイメージ

高速移動性能がELTRESの最大の強みELTRESは、スペイン語の定冠詞「EL」と、3を意味する「TRES」を組み合わせた造語だ。「長距離安定通信」「高速移動通信」「低消費電力」の3つの特徴をアピールした名前だという。

なかでも特徴的なのが、2つめの高速移動通信だ。この技術を開発したソニーセミコンダクタソリューションズ IoTソリューション事業部 開発2部 主任技師の北園真一氏は、「他の規格との差異化のポイントは、やはり移動性能。時速100km以上の高速移動中でも通信が可能だ」と話す。実験では、時速250kmで走行する新幹線からのデータ送信にも成功している。

1つめの長距離安定通信についても、障害物のない状況では100km以上の通信に成功しており、山中や海上といった携帯電話ネットワークの圏外へIoTソリューションを展開する際に優位性を発揮しそうだ。今後、通信サービスのエリアを拡大していくにあたっても「投資効率の観点で優位。ソニーの強みになる」と北園氏は話す。

(右から)ソニーネットワークコミュニケーションズ IoT事業部門 事業推進1部 ELTRES IoTネットワーク プロジェクトマネージャーの永井直紀氏、ソニーセミコンダクタソリューションズ IoTソリューション事業部 コネクテッドサービス事業室室長の井田亮太氏、同社 IoTソリューション事業部 開発2部 主任技師の北園真一氏
(右から)ソニーネットワークコミュニケーションズ IoT事業部門 事業推進1部 ELTRES IoTネットワーク プロジェクトマネージャーの永井直紀氏、ソニーセミコンダクタソリューションズ IoTソリューション事業部 コネクテッドサービス事業室室長の井田亮太氏、同社 IoTソリューション事業部 開発2部 主任技師の北園真一氏

月刊テレコミュニケーション2018年11月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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