世界で日本で、そして個人へ
クラウド型コラボレーションツールは早くも実利用が始まっている。その力を発揮するのは外部企業とのコミュニケーションが業務に不可欠だったり拠点が広域に分散しているケースだ。その例をLotusLiveユーザーの事例で見てみよう。例えば、会員名簿を作成してその名簿をメールで受け渡ししていた米企業はメールでのやりとりに不安を抱いていた。現在では、LotusLiveのファイル共有機能を活用して情報管理の安全性と利便性を高めている。
インド全土で小売業を支援する事業を展開している企業はやはりLotusLiveのWeb会議やファイル共有の機能を利用して社内外のメンバー間における意思疎通の円滑化を図っている。出張コストも25%以上削減することに成功している。米国のある車いすメーカーは全国に散在している社員に対する営業トレーニングをLotusLiveのWeb会議で行ったり、全社的なプロジェクト管理に活用している。IBMは、100カ国以上で1800万人がLotusLive上でコラボレーションしているという。
マイクロソフトのMOSも、「日本も全世界も予想を上回るペースで顧客が増えている」(インフォメーションワーカービジネス本部ビジネスオンラインサービスグループエグゼクティブプロダクトマネージャの米田真一氏)と好調なスタートを切っている。日本におけるMOSの有料利用者は2010年6月に20万ユーザーを突破している。そのなかで、Exchange Onlineを導入したケースはリクルートやライカカメラジャパン。リクルートは1万7000名が利用するという大規模な導入例だ。一方、UQコミュニケーションズは、協力会社との間で柔軟かつ迅速な情報共有の仕組みを構築するためにSharePoint Onlineを活用している。同社の高速無線サービスであるUQ WiMAXと組み合わせることによって場所を問わない情報共有基盤を実現し、ネットワーク建設の効率化を推進している。
サイボウズのサイボウズLiveのユーザー層は、小企業やSOHO、それに個人・家庭である。2009年11月の発表で試験的にスタートさせたが、「利用者は想像以上のスピードで伸びている」とサイボウズの丹野瑞紀氏(ネットサービス事業本部事業企画部長)は話す。ターゲットはこれまでグループウェアを使ったことのない小企業だ。それに加えて、大企業を含む複数の企業が集まって実行するプロジェクト推進の場としての利用を想定している。サイボウズ自身も、連携製品の開発やWebサイトのリニューアルなど、社外企業とのコミュニケーションにサイボウズLiveを利用している。
サイボウズのクラウド型コラボレーションツール「サイボウズLive」の画面。左がホーム画面で、右が所属するグループのトップ画面。スケジュール、共有フォルダ、掲示板、ToDoリストなどの機能がセットになっている |
サイボウズLiveはビジネス用途以外のユーザーも多い。例えば、マンションの管理組合が紙べースからサイボウズLiveのファイル共有へ議事録の作成・管理を移行させたり、学校のクラブのメンバーが部活動のためにスケジュール共有や掲示板でディスカッションを行うといった具合だ。