業種・企業規模を問わず幅広いユーザーを抱えるインターネットイニシアティブ(IIJ)、NEC、富士通ネットワークソリューションズ(FNETS)。いずれの担当者も、Office 365導入時にはネットワークの見直しが不可欠という認識がユーザー企業にも浸透していると話す。
NECでエンジニアを務める佐野公謙氏が「Office 365の新規導入時にネットワークも含めてすべて弊社に任せたいというケースが多い」と話せば、FNETSの松岡周氏も「最近は啓蒙が進んで、ネットワークも合わせて見直さなければならないという認識が広がった」と語る。
ただし、ここで問題となるのが既存の通信への影響だ。IIJの吉川義弘氏は「ネットワーク変更はインパクトが大きいため、既存の通信への影響を抑えながら対応するにはどうすればいいかという相談が多い」と話す。
既存環境からなだらかに移行 手始めはプロキシオフロードから顧客企業のこうしたニーズに対して各社が提案しているのが、Office 365の通信を他の通信と区別して別経路に振り分けるオフロード策だ。トラフィックの分散による負荷軽減である。
日本企業では一般的に、各拠点で発生するトラフィックをWAN経由で本社やデータセンター(DC)に集約してからインターネット/クラウドにつなぐ「一極集中型」のネットワークトポロジーを採用している(図表1)。
図表1 センター集約型の問題点
この形態を維持しながら、プロキシ/FW、インターネット回線の圧迫を避けるためのソリューションが図表2の「プロキシオフロード」だ。
図表2 オフロードによる問題解決
アプリケーション毎にトラフィックを識別して経路制御を行うADC(アプリケーションデリバリコントローラ)をプロキシ/FWの手前に置き、Office 365通信だけをバイパスさせる。Office 365は通信暗号化等によってセキュリティが担保されているので、迂回させてもセキュリティは担保できるというわけだ。FNETSの松岡氏によれば、回線も分けて「Office 365専用回線を使うケースが増えている」という。
松岡氏は、まずこのプロキシオフロードを基本にネットワーク設計を行うことを勧める。「回線とプロキシ/FW、ADCをワンセットにして、ユーザーの増加に応じて追加する。そうして許容量の大きなネットワークを実現することが設計の肝になる」と話す。